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20世紀の最後の年つまり2000年の忘年会で、友人達と戯れに21世紀中になくなりそうなものを挙げてみた。その時挙がったものに大相撲、プロ野球、自民党等がある。この中、自民党は政権を失ったし、プロ野球は有力選手の大リーグへの流出が由々しき問題となっている。だが大相撲の衰退がこれほど急速に進むとは予想を超えた。
相撲はルールが非常に単純であり、柔道やレスリングと違って土俵があるためスピードとスリルがあり格闘技としてとてもよくできていて、見るスポーツとしては柔道やレスリングよりはるかに面白い。
私も昔栃錦(初代)若乃花時代は相撲が大好きだったが、いつの頃からかまったく見なくなった。今から振り返ってみると、相撲に興味がなくなったのは超重量力士がのさばるようになってからのような気がする。
栃錦や初代若乃花が今の力士に混じれば間違いなく最軽量級であろう。だがそれでも多分彼らは横綱を張ることができるだろう。最近の力士はたらふく美味しいものを食べているくせに、稽古量は昔よりはるかに少なくなったと聞く。「三年先の稽古」という金言も死語になったのか。それに体重が増えることが必ずしも相撲にはプラスになっていない。
不思議でならないのだがどうして親方衆は栄養士或いはスポーツ医学の専門家を抱えて力士の適正体重を管理しないのだろう。体重が増えすぎて短命に終わった力士の何と多いことか。
最近の力士の教養のなさにもゲンナリする。二代若乃花が大関だか横綱だかに昇進した時、使者への挨拶の中で「堅忍不抜」を間違えて「ケンシン不抜」なんて言っていた。意味が全く分っていない。
双葉山が70連勝を阻まれた時、彼の精神的師匠格であった安岡正篤に「われ未だ木鶏たりえず(荘子)」と電報を打ったのと比べなんという違いだろう。「双葉の前に双葉無く、双葉の後に双葉無し」と言われているのは単に彼の強さだけを言っているのではない。双葉が生きていたら今の相撲界をどう思うだろうか。
相撲界の改革が論議されて久しいが、外部から理事を招聘する話も一向に進まない。理事というのは経営者であるから相撲取としての実績こだわるべきではない。今の理事は既得権擁護に余念がない。だが現状維持は衰退に至る道であることを知るべきである。
去年ブログで大相撲について二度書いた。以下に再掲する。
2010年6月19日「野球賭博」
大相撲の野球賭博が大問題になり名古屋場所開催まで危ぶまれている。そんなことに大騒ぎしている場合なの?もっと大事なことがいっぱいあるでしょう?
大相撲がなまじ国技として文部省所管の公益法人とされているから問題が大きくなる。ちょっと前は横綱の品格で大騒ぎだった。漫画しか読まない横綱に誰も品格など期待していないのに。
こんなことならいっそ公益法人などやめてプロレス並の一興行団体にしてしまったらいい。そうなれば文部大臣や横綱審議会がしゃしゃり出ることもなく当事者には気楽だ。その時は少々の不祥事など話題にもならなくなり刑事事件に該当するかどうかだけを問題にすればいい。
2010年7月6日「名古屋場所相撲中継中止」
大いに結構だ。名古屋場所に限らずこれを機会に生中継は止めてほしい。内外でこれだけ重要ニュースがあるのに延々何時間もあんな内容の相撲を中継するのは貴重な電波の浪費だ。
相撲界の賭博問題。あまり知恵のない若いものが暇と金を持て余すと賭博に走るのは古今東西変わらない。賭博をなくしたければこの三つの条件つまり知性の欠如、金、暇の少なくとも一つをなくすことだ。
八百長のこと
警察も罪なことをしたものだ。賭博捜査過程でたまたま携帯電話の中に八百長の証拠を見つけた。世の中にはあってもなかったことにすることがいくらもある。相撲界に八百長や星の貸し借りがあるのは常識に属する。谷町からのご祝儀だって税務署は脱税で挙げるような野暮なことはしない。今回も不問に付す手もあったと思うが警察はお節介にも相撲協会に報告してしまった。放駒理事長が「過去一切なかった」とカマトトぶっているのは、そうした報道を名誉毀損で訴えてきたこれまでの行き掛り上やむを得ないところだ。今後八百長はメールではなく口頭で、支払いは銀行口座を通さず現金で遣り取りするように徹底することだ。
ところで八百長が刑法に触れるかどうか見解が分かれる。勝ち負け自体が賭けの対象となる競馬ほどではないが、八百長があれば相撲というゲームの価値は大いに損なわれる。従って私見では立派に偽計業務妨害罪を構成すると考える。
十両力士が星の売買や貸し借りをやって中々幕下に転落しないため下位力士が昇進できないのは、大企業正社員や役人の身分保証が手厚いため若者の就職口が少ないのとパラレルな関係にある。既得権を維持したいのはどの世界でも同じ。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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