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De São Paulo para Japão-Saitama- Report
サンパウロからさいたまへ 第7回
下村政裕
ブラジルでは、あまりにリオのカーニバルが有名ですが、コンテスト形式のパレードが、2日間、夜を徹して行われ、このパレードを見るために、ご存知のとおり世界中から観光客が集まります。
日本人が、ブラジルと聞いたら出てくる言葉で、間違いなく5本の指に入るリオのカーニバル。
カーニバルの本場、ブラジルに来て、このこともまた、あまりに自分が、知らなかったことを思い知らされました。
もちろん、リオのカーニバルという言葉は知っていましたが、浅草やさいたまの大宮の夏祭りでやっていて、特に、裸同然の女性のダンサーが激しく踊る華やかなパレードのことを意味するくらいにしか考えていませんでした。
本場のカーニバルが、夏ではなく、2月に行われるものだということも、こちらに来て始めて知りました。
でも、考えてみれば、南半球のブラジルでは、2月は、れっきとした夏でしたが。
カーニバルを調べてみると、無知だった自分が恥ずかしいですが、もともとは宗教的な行事でした。
時期的には、復活祭(イースター)を基準に太陰暦(復活祭の前の日曜を除く40日間《四旬節》)で決められるそうです。
復活祭は、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日(4月の上旬ころ)と基本的に決められていて、日付的には、移動祝日となります。
したがって、カーニバルも毎年変動し、2月の中旬から下旬になることが多く、その期間も1週間程度で、最終日は常に火曜日だそうです。
これは、前述の《四旬節》の始まりが水曜日と決められているからです。
《四旬節》の40日間は、復活祭を前に、断食をして心身を清める期間であり、この《四旬節》の始まりは水曜日《灰の水曜日》とされ、この40日間の断食を前に、数日間は仮面舞踏会など派手な酒宴を行った習慣があり、これがカーニバルの起源であるといわれているそうです。
したがって、カーニバルの最終日は、常に火曜日で、ここポルトガルでは、国民の祝日となっています。
ちなみに今年のカーニバルは2月24日で、2月21日から4日間がカーニバル期間です。
現在では、カーニバルの時期はその起源に基づくものの、その姿は単なる年中行事や観光行事になっている地域も多いようです。
さて、カーニバルといえば、なんと言ってもサンバパレード。
リオの、あるいはブラジルのカーニバルが、世界的に有名になったのは、サンバとの融合があったからだといわれています。
アフリカからの黒人奴隷が持ち込んだ軽快なリズムのサンバ。
このアフリカの伝統音楽とヨーロッパからの文化やブラジルにもともといたインディオの文化との出会いが、独特のブラジルサンバを産み出したといわれています。
そして、奴隷から解放された黒人たちがカーニバルに参加するようになり、カーニバルの音楽としてサンバが使われるようになったそうです。
それ以来、カーニバルと共に、世界中の人々を、心の底から魅了する、激しいリズムとパフォーマンスへと進化を続け、今日の世界的に有名なブラジルのカーニバルが出来上がったということでしょう。
自分は、このコンテスト形式でカーニバルのサンバパレードが行われていたということも知りませんでした。
その上、自分の滞在しているサンパウロでも、負けず劣らずの規模で、リオと同様、カーニバル用の常設の特設会場《サンバドロモ》で、毎年、同様のコンテスト形式のパレードが、同様に2日間、深夜から早朝にかけて、開催されているということを知った時は、少し驚きも覚えました。
もう一つ知らなかったことは、このコンテスト形式のパレードに参加するのは、エスコーラ・ジ・サンバ《サンバの学校》と呼ばれる各サンバチームだということです。
このサンバチームを学校と呼ぶのは、一つのブラジル流のジョークのようですが、各地域のコミュニティーセンター的な役割も持つこの《サンバ学校》は、古いものでは90年近い歴史を持っているようです。
これらのサンバチームが、一つのテーマに基づいて、数千人規模の出し物形式のパレードを行い、順位を競いますが、このサンバチームの存在が、やはり、ブラジルのカーニバルを有名にしたもう一つの理由でもあるとのことです。
もともとは、日本の祭で多く見られるお神輿や沖縄のエイサーと同様、市中を練り歩いたようですが、一説では、多くの事件や事故が絶えず、今日のような、コンテスト形式のパレードになったと聞きました。
ただ、こうした観光化に反対する人も多くいると聞いています。
ブラジルでは、未だに、地方を中心に、宗教的行事として行われるものも含め、まだまだ、たくさんのストリートカーニバルも残っているようです。
この原稿を書いている今日は、2月21日土曜日。
今年のカーニバル週間の始まりの日です。
そして、ここブラジルでは、この夏の最後の祭典であるカーニバルが明けて、初めて新年が始まるといわれています。
(写真は、いずれも2008年2月のカーニバルで撮影)
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