トップページ ≫ 未分類 ≫ 変わりゆく商店街 時代の流れには抗えない
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駅前商店街の写真店に、寄った。そこはスタジオ撮影もしてくれるので、記念撮影の予約をしようと思った。ところが、自転車預かり所になっていた。見覚えのある顔が奥に見えたので訊ねたところ、商売替えしたとか。カメラはデジタルのものが主流になり、フィルム現像の客も著しく減少。フィルムメーカーのフジフィルムもヘルスケア事業を昨年始め、フィルム原料のコラーゲンを使って、化粧品を売り出しているとか。スタジオ撮影も、例えば七五三は衣装のレンタル・ヘアメイクと一括して行うところが主流になるなど、撮影だけする写真館は減少するばかりとか。この写真店は駅には近いが小さな店で、駐車場もない。商売替えも仕方のないことか。
大宮に近いこの駅では、駅舎の立て替えと駅前に広場を作る計画が進んでいる。駅前の個人経営の自転車預かり所が1軒、立ち退き予定らしい。この預かり所はタバコや新聞も売る店で、店番のおばあちゃんは通勤時の風景の一部だった。そのおばあちゃんの姿が見られなくなった後に、その家のお嫁さんらしい女性に代わり、この女性も時間と共にあのおばあちゃんのようになるのだろうなどと、考えたこともあったが。
駅が新しく生まれ変わるのはいいが、風景が変わるというのは、淋しいものだ。しんみりとした気分になった。二度と同じ風景には会えない。街の景色は変わっていく。
変わるのは街の景色ばかりでもない。帰宅する途中に見た、一所懸命走っている少年の横顔とか、お風呂の湯気の中で見た子どもの丸いお腹とか。いつもより強く目に焼きついた。
変わる前に駅前で、フィルムカメラで記念撮影をしようか。
(檀 玲)
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