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早くも中山国交相がわずか就任五日間で辞職した。というより罷免されたというほうが正しい。しかも失言によって。愚かなことだ。だが、よく考えると中山氏の発言は失言ではない。明らかに暴言である。失言は総理大臣の麻生氏もよく吐くが失言はその人間の軽さや社会を舐めている場合によく飛び出す言葉だ。しかし暴言はその人の人格の低級さから発せられる暴力的な言葉をいう。例えば日教組をぶっ壊せ、日教組の子供は頭が悪くても教員になれる、空港反対者はごね得だ、日本は単一民族だ、等々。事実誤認もはなはだしいし、指摘された人達は悔しさに身が震える思いだろう。言葉の暴力とは、バカヤローとか、コノヤローという言葉だけではなくその人の心臓を突き刺してしまうような言葉をいう。そもそも政治家の劣化現象の一つは言葉への信仰と重厚さの喪失にある。言葉は魂だということを忘れてしまった政治家がなんと多いことか。吉本流のうけを狙った政治的言語は所詮心に残らず泡のように虚しい。
本来、政治家というものは中身のあるユーモアに満ちた言葉を発し、教養の深さと精神の高さと余裕を示していた。すべては言葉にあるという厳粛な事実を忘れてしまった人は政治家にはほど遠いはずなのだ。政治家の仕事の一つとして言葉を磨くことを忘れてはならない。政治家は作家的素養と作詞的センスにたけていなければならない。ちなみに作詞家の故阿久悠は幼年時代、故郷淡路島で国語辞典をひきまくって趣味とした。不言実行は嘘だ。有言実行が政治家の筋だ。そして有言とは選言だということに心すべきだ。そもそも中山氏の傲慢な発言はいかに最高学府を出ていても応用のできない学力だけを身につけてしまった人の哀しみの姿に他ならない。
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