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大阪地検特捜部の証拠変造事件が連日報道されている。だが検察の腐敗は今に始まったことではない。世間は忘れっぽいのでここでざっと復習ってみることにする。
戦前もっとも質(たち)の悪いのが帝人事件(昭和9年)
帝国人造絹絲株式会社(帝人)の株式を巡る疑獄事件。中島久万吉商工大臣、三土忠造鉄道大臣が起訴されたため斉藤実内閣は総辞職を余儀なくされた。完全なデッチ上げであり起訴されたものはすべて無罪となった。この事件は内閣を倒しただけでなく政党政治家への不信感を醸成し議会政治にとって大打撃となり軍部の政治介入の呼び水となった。
この冤罪事件の背後にいたのが検察官僚の大御所で当時枢密院副議長であった平沼騏一郎。彼は犬養毅の後継首相を望んでいたが叶えられなかったことを深く恨み倒閣に動いたものである。「検察ファッショ」の言葉はこの時できた。
平沼騏一郎の名は歴史教科書で、三国同盟に向けて直走った彼の内閣がドイツの裏切り(独ソ不可侵条約締結)に遭い周章狼狽し「欧州情勢は複雑怪奇」の迷言を残し総辞職した首相として書かれている。
いくら考えても平沼騏一郎が日本近代史に貢献した事績を思い起こせない。強いて挙げれば降伏を決める最後の御前会議で、東郷外相、米内海相がポツダム宣言即時受諾を主張したのに同調したことぐらいか(当時枢密院議長)。
騏一郎は岡山県選出の衆議院議員平沼赳夫氏の養父に当る。平沼赳夫氏のホームページを見てもなぜかこの高名な養父の名はどこにもない。
昭和電工事件(昭和23年)
この事件により芦田内閣は総辞職。リベラルな連立政権として発足した芦田連立内閣打倒を目的として、反共へシフトしつつあったGHQの意を受けて検察が動いたと見られている。主要な被告は無罪確定。
この事件に連座して大蔵省を辞職したのが福田赳夫(当時主計局長)。この事件がなければ彼が大蔵省を辞めることはなかったし後の福田首相もなかったであろう。だから彼にとっては禍福いずれとも言えない。
ロッキード事件(昭和51年)
田中角栄は受託収賄罪で一二審有罪、最高裁で審理中死去。民間航空機の選定に総理大臣の職務権限が及ぶかどうか議論の余地がある。ところが明らかに職務権限がありはるかに金額が大きい自衛隊の対潜哨戒機P3C採用を巡る疑惑を不問に付したことに検察の作為を感じる。アメリカの軍需産業の利益を損い日米安保体制を揺るがしかねないからである。
リクルート事件(昭和63年)
思えば経済の失われた20年の始まりがバブルの崩壊なら、政治の失われた20年の始まりがリクルート事件だ。この事件で自民党有力議員の多くが逼塞を余儀なくされ、藤波孝生に至っては刑事犯とされた。そのためバブル崩壊後有効な対策がとれなかった。
この事件のもう一つの副作用は、リクルートの空騒ぎがいわゆる政治改革の機運を高め小選挙区制に道を開いたことである。自民党の派閥が諸悪の根源→派閥ではなく政党中心の選挙→小選挙区制という三段論法が一世を風靡した。
小選挙区制と政党助成金を中心とするいわゆる政治改革がその後どれだけ政治を混迷させたか計り知れない。
中元歳暮を派手にばら蒔いた程度の事件なのに、世論の沸騰を見て検察は功名心を刺激されたのであった。
金丸事件(平成4、5年)
平成4年佐川急便からの5億円の闇献金が発覚。金丸は副総裁辞任で幕引きを図る。検察は政治資金規正法違反で略式起訴し罰金20万円を科す。世論の憤激を見て検察は翌年金丸を脱税容疑で逮捕。この事件では、検察は権力者に弱い一方で捜査権の行使は世論に影響されやすいことが暴露された。
辻元清美さんの秘書給与天引き事件(平成15年)
辻元さんが清廉潔白というわけではないがあんなことは誰でもやっている。何も無理やり秘書から金を巻き上げたわけじゃない。初めから合意の上だ。この程度のことで議員を逮捕するのかと感じた。身内を形ばかりの秘書にしているのがよほど悪質だと思う。しかもほぼ同じような事案の田中真紀子さんはなぜか目こぼし。検察には好き嫌いがあるらしい。社民党潰しを狙ったのならわかる。
鈴木宗男さんの言う「検察の青年将校化」とは
鈴木さんは有罪が確定した時「検察は青年将校化している」と言った。彼になり代ってその意味を説明することにする。
最初の帝人事件の項で「軍部の政治介入の呼び水となった」と書いたことと関連するが、「財界や政党政治家は腐敗堕落している。『乃公(だいこう)出でずんば蒼生を如何にせん(俺たちがやらなくて誰がやる)』」といった青年将校の過大な正義感、気負いを言う。実はその裏には功名心出世欲が潜んでいることの自覚がない。検事として大きな事件を手がけ名を上げれば退官後弁護士を開業するのにも都合がよい。
逮捕情報のリーク
検察は逮捕する容疑者が著名人であると事前に新聞テレビに逮捕情報をリークし、逮捕場面を撮影させ自らの業績(?)を顕示する。マスコミは現代版「市中引き回し」の片棒を担いでいる。
以下は警察の問題点
選挙違反
選挙違反の摘発は共産党に最も厳しい。戸別訪問で挙げられたのは共産党だけ。当選議員に甘く落選議員に厳しい。選挙違反では物証がないことが多いので警察は自白を引き出すため手練手管を弄する。
草彅剛事件
だれもいない深夜公園で素っ裸になったのはせいぜい軽犯罪法違反だろう。それを逮捕した上家宅捜索までした。人権侵害ではないか。なぜメディアはそれを問題にしなかったか。
別件としての死体遺棄罪
明らかに殺人事件であるのに先ず死体遺棄罪で犯人を逮捕することが多い。殺人者以外のものが死体を遺棄するはずがないではないか。二つの罪名を使って勾留期間を長くするのである。違法ではないがフェアではない。
警察とパチンコ業界及び自動車教習所
警察の数少ない天下り先にパチンコ業界と自動車教習所がある。天下りを受け入れたパチンコ店は取締に手心を加えてもらえる。
免許取得方法には自動車教習所に通わず直接運転免許試験場で受験する方法もあるが、その場合容易にパスできない。自動車教習所の利益を守るためである。
交通反則金の意味
交通反則金は初めから予算化されているので警察にとって売上金みたいなものだ。だから年度末売上未達成だとスピード違反取締に精を出す。それも事故防止よりは捕まえ易さに重点をおいて場所を選定する。
(ジャーナリスト 青木 亮)
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