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戦前もっともノーベル賞に近かった日本人は北里柴三郎。業績は血清療法のジフテリアへの応用。実際には共同研究者のベーリングだけ受賞した。もし彼が受賞していれば第一回(1901年)ノーベル賞受賞者として日本中沸き立ったことであろう。彼が受賞できなかったのは人種的偏見のせいだったとする説もある。この分野「医学生理学賞」の日本人最初の受賞者は利根川進(1987年)。もし北里存命中文化勲章があれば当然受賞したであろう。
野口英世は教科書にも載りお札にもなったが、教科書を読んでも彼の業績はよくわからない。黄熱病は死因であってこの分野で業績があったわけではない。実は彼の業績中最も重要なものは梅毒の研究である。
野口は人格的に問題があり異常に功名心が強く金銭にもルーズだった。いくつかの業績なるものはいかがわしい。婚約不履行や寸借詐欺で告訴された可能性もあった。日本にあっては悲劇な死はすべてを浄化するようだ。
「土星型原子モデル」を提唱した長岡半太郎もノーベル賞級だった。第一回文化勲章受賞者ではある。長岡自身はノーベル賞を逸したが湯川秀樹の受賞は彼の推薦によるものである。
太宰治が芥川賞を切望したことはよく知られているが同じように三島由紀夫は晩年ノーベル賞受賞だけが生き甲斐であったかのようだ。そのために自作品の英語翻訳に精を出した。死の直前母堂に向かって「人生おもしろくなくなった。政治への道は石原慎太郎に先を越されるし、ノーベル文学賞は川端さんに行くし」と嘆じた。ノーベル文学賞は地域的バランスも考慮されるので日本人が立て続けにもらうことはないのを知っていたからである。英語圏以外の作家には初めから英語への翻訳というハードルがある。ノーベル賞がほしければ最初から英語で書くほうがいい。
ノーベル平和賞だけはノルウェー国会が任命するノルウェーノーベル委員会が選考する。
私はノーベル平和賞はなくすべきだと思っている。佐藤栄作、マザーテレサ、ダライ・ラマ十四世、この三人の共通項がノーベル平和賞だと知る人はよほどのマニアだろう。
余談だが中国人劉暁波氏への授賞を報ずるテレビニュースの中で「劉暁波氏の妻」という言い方を頻繁に耳にする。報道関係者はこれを非礼と思わないらしい。なぜ夫人と言わないのだろう。ところで彼は賞金をどうするのだろう。国内に持ち込めば没収されるに決まっているし。
それにしてもノルウェー政府に圧力をかければ選考を左右できると考えた中国政府のナイーブさ。蟹は甲羅に似せて穴を掘る。
ノーベル経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」。森嶋通夫は受賞の可能性があったが既に死去。
ノーベル賞に数学賞はないが代わりにフィールズ賞がある。日本人受賞者は小平邦彦、広中平祐、森重文氏の三名。
ノーベル賞と文化勲章(文化功労者)
ノーベル賞が先で文化勲章が後追いという例もままある。ノーベル賞も文化勲章も業績を客観的に評価できる自然科学分野だけにしたほうがいい。特に文化勲章は絵描きや文士が多すぎる分自然科学分野が少ない。文化勲章受賞者には終身年金が支給される。現在は年額350万円。受賞者にご老体が多いのは年金予算を増やしたくないためか?
尚文化勲章と文化功労者の関係については当電子新聞の拙文「文化の日と文化勲章」を参照されたし。http://www.qualitysaitama.com/?p=5067
(ジャーナリスト 青木 亮)
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