文芸広場
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今年は気候の変動が激しく、5月になっても寒い日が多い。
本来5月と言えば、「五月晴れ」や「風薫る五月」という暖かさと新しい息吹を感じさせる言葉思い浮かぶ。
だが、今年は春らしい陽気が続く中で突然寒さがぶり返す日が多い。
春の始めに寒さが戻ることを「寒の戻り」。
これが桜の季節になると、桜の花になぞらえて「花冷え」。
新緑の頃には「若葉寒」。
文字どおり若葉も震えるような寒さを表すが、5月になってもここまで寒いことはないので、あまり使われることはない。
梅雨になると「梅雨寒」。
ちなみに「つゆざむ」を夜露の露と書く「露寒」もある。
露のおりる日が多くなる晩秋の寒さを表す。同じ発音だが全く意味が違う。
8月になると気温の上がらない夏を「冷夏」と言う言葉を使うが、寒さが戻るという表現はなくなる。
ちょっと勉強してみたら色々なことを知った。
移りゆく季節の中で、自然と深く関わり合ってきた日本ならではの感性がこれらの言葉を生みだしたのだ。
どの言葉も情緒に満ちた言葉が多い。
つくづく幸せな国に生まれたと思うばかりだ。
近年、大企業では社内で英語を用いるところが増えている。これもいい。
だが、季節と自然への畏敬の念から生まれた日本の言葉を、今一度学びなおすのも良いものである。
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