この地は私に刺激と癒しを与えてくれる。

私の活力源は食べること、そしてファッション。

私の五感を刺激するそれらのものがここ丸の内で満たされる。

そして癒し。

近代ビルが立ち並ぶ喧騒の中、凛とした風情ある佇まいを見せる赤レンガの東京駅を眺めながらなぜか望郷の想いに駆られる。

なぜなのだろう・・・。

そんな想いを抱くのは私がこのグラスに満ちる液体で少し酔ったせいなのかもしれない。いやこの壮麗な駅舎に酔いしれているのだろう。

この駅舎はこの地で数知れない悲しみや喜びとともにその歴史を刻んできた。

大震災に耐え、空襲で火の海になり、たくさんのひとの想いを背負い、復原に至った。

そしてまた遠い昔から、人々のドラマがこの東京駅で繰り広げられてきた。

ここを原点とするもの、ここから旅立っていくもの、ここに戻ってくるもの、そしてここが日常なもの。

そのすべてを受け入れる穏やかな優しさに満ち溢れているかのように私には思えた。

だからこそ、ここにまた足を踏み入れたくなるのだろう。

高層ビルと赤レンガ駅舎。刺激と癒しを兼ね備えた街、丸の内。

高層ビルの窓に映る駅舎を眺めて安らぎに浸る。

今宵はその故郷のような温もりのある美しき幽玄な赤レンガの駅舎に疲れた体を癒してもらった。