人の世は短い

ましてや折り返し点を過ぎてからは

時間は坂道を転がるビール樽のようです

「止まれ、お前は速すぎる！」

道端の花をみてしばしの猶予をと思っても

意地悪く加速度を上げるのです

そんなに貴重な筈の時間なのに

一時間より長い長い十分があり

一年より長い一時間があります

時は絵の中の水車の様に-ガタン-と

止まってしまったのではないかと

思える時間です

時計の針は煮込みウドンのように

ダリの絵の中で垂れさがっています

それは足が痺れているのにまだ続くお経を聞いているとき

一時間以上待っている病院の待合室

空気も悪く逃げ出せない会場での

入れ替わり立ち替わりの弁士の演説

困った人とのバスの相席

今私が耐えているのはある資格の五年毎の定期講習会です

机の下に時間のアクセルがあれば