文芸広場
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私は都会の喧騒を少し離れた緑が好きだ。
時に丸の内から日比谷公園まで足を延ばす。
その日比谷公園にある松本楼というレストランのガーデンテラスでワイングラスを傾けながら小鳥たちのさえずりを聴き、極上のひとときを過ごす。
何回かこのひとときを繰り返しているとある種の興味が湧いた。
この日比谷公園の素晴らしい緑はどうやって造られたのだろうか。
私の友人のひとりに「グリーンコーディネーター」という仕事に携わっているものがいる。
その知人に尋ねてみると「本多博士、埼玉にいてしらないの?」と言われた。
そこでその博士を調べてみた。
博士の名は本多静六。
現在の久喜市(旧菖蒲町)に生まれ、日本最初の林学博士として、明治神宮の森の造営、日比谷公園、大宮公園等全国各地の都市公園の設計を手がけるなど、数多くの功績を残した偉人だった。
さらに本多博士の眠る墓地を調べてみたところ、青山墓地にあるとのこと、足を運んでみた。
田舎の緑とはちがい、ここの緑はこの墓地を惹きたてる宝石のような美しさを醸し出す。
さすが緑を愛し、造り上げた博士にふさわしい場所だった。
ただ残念でならなかったのはこの美しい墓地に多くの偉人や著名人が眠っているが殆どの墓地に花がなく、あったとしても枯れていた。
そこはかとない哀愁漂う墓地は博士の墓地も同じだった。
その日は初夏のもかかわらず、冷たい風が吹き、一時的な雨に見舞われた。
私には本多博士が故郷に帰りたいと訴えているかのように覚えた。
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