トップページ ≫ 文芸広場 ≫ 雪んこの頑張ろう!「空の色」
文芸広場
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心地良い揺れの中でまどろみかけた私がふと目にしたものは、青く澄んだ空に浮かぶ雲だった。
光を浴びた雲、ところどころグレーがかった雲、幾重にも重なる雲、雲はひとつとして同じ形はない。
この閉ざされた動く空間の大きな枠の中から見上げたその光景は、まるで絵画のような心を奪われる美しさであった。
ここは新幹線。その窓枠のキャンバスに心が染まる。
この空は自然の贈り物ではない。画家によって描かれた虚構の空だ。
その美しい絵はただ美しいだけではなかった。
一つは「古い城址のある風景」。
夕暮れの空。赤く染まるその空はどこか暗黒に包まれていた。
まるで閉ざされた心の闇のように、終わりを遂げた城が哀愁に満ちていた。
オレンジがかったピンクの空の上にはグレーが染まる。
明けない夜はない。この絵をみながらそんな言葉を思い出していた。
二つの独創的な空はまるで人生のようだ。
人生とは明暗がある。そして光と闇がある。
そんな言葉を画家が語っているかのようだった。これは画家の人生の深さを物語っているのだろう。
子供の頃、空の色は何色かと聴かれたら水色と答えていた。
今は、とき、場所、そして見ているときの心の内で色は異なる。
嬉しい時はスカイブルーだったり、哀しい時はグレーに想えるかもしれない。それだけに空の色は色とりどりであり深い。
今、あらめて空を見上げる。
清々しい真っ青な空に満足を覚えた。
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