文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
久方振りに映画を観ました。
浅田次郎文学の最高峰といわれた「柘榴(ざくろ)坂の仇討」です。
大きな時代のうねりの中、誇りと覚悟を持ち続ける中井貴一演じる志村金吾。十三年の時が流れ、阿部寛演じる佐橋十兵衛、ついに巡り合います。生きていれば必ず仇に逢えると信じ武士の心を捨て切れずにいたのです。
明治六年(1873)二月七日、金吾は十兵衛と巡り逢う。しかし、皮肉にも同じ日、明治政府は「仇討ち禁止令」を公布府した。幕臣時代の上司は仇討を止まるよう説得するが、「国がいかなる方を定めようとも私の思いが消える訳ではございませぬ」と心がゆり動く事はなかった。広末涼子演ずる妻せつ、金吾を助け酌婦をしながら生活を支えている。
夫がこの世を去ることとなれば自分も後を追う覚悟で十三年間も夫を支え続けました。
この凛としたセツの生き方に涙する私でした。
最後は十兵衛も十三年間苦しみ金吾に討たれるのを待っていた事がわかり、許そうという心が芽生えてきたのです。
そして、仇討も死ぬことも放棄した金吾が妻セツを迎えにいき、雪の中、「ありがとう、これからはお前と一緒に歩いて行く」という意味ありを持たせ手をとり帰る姿にまたもや涙が溢れました。だまっていても夫婦の情。そして、男の義。長く生きた私達にとっては嬉しい事ですが、携帯・ゲームで楽しんでいる若者達にはどううつるでしょう。武士道の在り方、生き方、日本人としての美徳をぜひ、理解し、尊んで欲しいと切に思った映画でした。
雪あかり 寄り添いゆれる 影ふたつ
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR