さーその暗い部屋から出てらっしゃい

私は両手を大きく広げて待ってます

暗い部屋にとじこもり何を考えているのです

この輝かしき新年を迎え清々しい気持ちで外に出る気はないの

陽を浴びることは爽快ですよ

勇気をだしてトビラを開けてくださいな

私の顔をみてください

行ってきまーすと小さな手をあげ

キラキラした目で幼稚園に行ったあなた

大きなランドセルが重そうだった小学校入学

桜の木の下で散る桜も一緒に中学卒業

大人の顔と子供の顔が半分づつのあなたの高校入学

可愛いあなたの成長を楽しみにしていた私

そのあなたの心の中に重い暗いものが入ってしまったのね

どんなに重いものでも一生懸命受け止めてあげるから

ほんの少しでもいいから私に出してくださいな

私の住んでる雪国へ一緒にいこう

ただただ白銀の世界へ

聞こえるのは雪の落ちる音だけ

何が聞こえるか雪の中に顔をうずめてごらん

そして海に行ってみよう

冷たい身を切られるような風を全身に受け

荒波の海に向っておもいきり叫びなさい

自分がこんなにも小さいものなんだと思うから

あなたの知っているお隣のおじいちゃんが困っているの

雪かきできなくて若い子がほしいんだって

おもいきり汗をかきなさいいい汗をかきなさい

明日私は田舎へ帰ります

今度いつこられるかわかりません

いつまでも両手を大きく開いてまってます

トビラが少し開きました

強く強く抱きしめた私の涙の中にあなたの顔が入りました