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コラム …男の珈琲タイム
2月8日は全国的に雪と風による大荒れの天気で、埼玉県でも積雪が熊谷市で43cm、秩父市で48cmになるなど記録的な大雪に見舞われた。翌日は晴れて、冠雪した遠くの山々がまぶしいくらいだった。住んでいる集合住宅が西向きなので、秩父、多摩の連峰は眼前に迫るような感じだ。視線を右にずらしていくと、まっ白な浅間山の威容が目を引く。他の山に比べてはるかに遠くだが、標高2568mのどっしりとした姿はひときわ存在感を放っている。
冬になると富士山はよく見えるが、浅間山はなかなか姿を現さない。雲がかかったり、かすんでいたりして、その全容が見える日は少ない。数年前には運よく噴煙まで目撃でき、世界有数の活火山といわれる爆発エネルギーを実感した。
浅間山は昨年7月に公開された宮崎駿監督のアニメーション映画『風立ちぬ』にも登場する。映画は零式艦上戦闘機の設計者・堀越二郎の自伝と堀辰雄の小説『風立ちぬ』が巧みに組み合わされたストーリーだが、軽井沢、浅間山はこれらの共通舞台なのだ。
小説では堀辰雄本人とおぼしき主人公と結核を患っている婚約者との愛を、美しい風景描写をからませながら独特の文体で描いているが、この話が宮崎作品にも盛り込まれている。映画人気もあって、軽井沢にある「堀辰雄文学記念館」を訪れる人は急増したという。
先日、亡くなった大瀧詠一が作曲し、松田聖子が歌って大ヒットした『風立ちぬ』(作詞・松本隆)も堀辰雄の小説がモチーフになったことが知られている。遠くから眺めるだけでなく、浅間山のふもとまで行って『風立ちぬ』の世界をたどってみたい。そのためにも春が待ち遠しい。
(山田 洋)
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