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コラム …男の珈琲タイム
選挙にはほとんど美談というものは聞こえてこない。醜聞や、誹謗、そして中傷のウズだ。そんななか珍しく美談を聞いた。秋田出身の市議選立候補者がチラシをつくり、ポスティングを展開。
すると数日たって電話がきた。その主は秋田から上京してきて、埼玉で財をなした実業家だった。
「あなたの御両親にずっと昔の若い頃、苦学し、明日の飯もままならぬ時、家にとめていただいて温かい御恩をうけつづけた。その恩を返すために私は上京し、朝も夜も働きつづけ事業をおこし、成功することができた。今度は御子息であるあなたに御恩をお返ししたい。あの能代の桜が懐かしく、いまでもまぶたに浮かんできます」と。
東北の人の義理固さに感動をした。そして私までまだ見ぬ能代の桜を思い浮かべた。散る桜、残る桜も散るさくらという世のはかなさをうたった句があるが、はかないからこそぬくもりが珠玉だ。重く垂れさがった東北の暗い空に反して、東北人の心は暖かいのだ。この美談に候補者達はみな燃えている。
(鹿島修太)
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