トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 砂丘舞台の演出写真が今も新鮮 「植田正治写真展〜写真とボク」が始まる
教育クリエイター 秋田洋和論集
砂丘を舞台にした数多くの傑作写真で名高い写真家・植田正治(1913-2000)の没後10年にあたり、初の大規模巡回展となる「植田正治写真展〜写真とボク」の開催が、18日から埼玉県立近代美術館で始まっている。植田正治は、日本はもちろん海外でもUeda-cho(植田調)と言われ国外で最も人気の高い日本人写真家の一人だ。
終生、生まれ故郷の山陰にとどまって「熱心なアマチュアリズム」を標榜し、制約なしに自己表現の道を行き「写真」する歓びを追求した植田。砂漠を舞台にした演出写真の数々は、時代の変化に褪せることなく、今見ても新鮮だ。
計算し尽くされた構図の美しさや面白さは見れば見るほどに写真の奥深さへと誘ってくれる。今回の写真展では、鳥取砂丘を舞台に土門拳や石津良介らを被写体にした演出写真、没後発見された未整理のネガをプリントした初公開写真10点、植田自身と家族をモデルにした一連の演出写真、そして再評価のきっかけともなった70歳になってファッション写真家としてデビューした以降のシリーズ「砂丘モード」などをはじめ全10カテゴリ約200点が展示されている。
植田の孫に当たる増谷寛さん(植田正治事務所)が案内役となった19日のギャラリー・トークには、増谷さんも驚くほどの大勢の植田ファンが詰めかけた。
増谷さんは「例えば、砂丘の水平線と小道具の傘のラインを重ね合わせたり、細かな演出にこだわってカタチ(構図)の面白さや不思議さを追求しました」と植田調について分析する。
一方で、今回、初公開となる一連の家族写真の別バージョンと思われる“ボクのアルバム”について「植田にしてはややウェットな空気感が出ているもの。それで、ボツにしていたのでしょう。今度植田に会ったら怒られるかもしれません(笑)」と秘話を披露してくれた。
「植田正治写真展」は、2011年1月23日まで。休館日は月曜日(1月10日は開館、翌11日休館)と12月27日から1月3日まで。観覧料は一般800円(大高640円)。1月8日(13:00〜)には担当学芸員によるギャラリー・トーク、1月9日(13:00〜16:00)にはワークショップ「体験!〈演出写真〉を写してみよう」も行われる。
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