トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 独創的な書で魅了 平成22年埼玉県文化ともしび賞受賞水田紫峯さん(坂戸市)
教育クリエイター 秋田洋和論集
水田さんは、昭和六年兵庫県生まれ。父親は、軍隊上がりで、「軍人勅諭」をそらんじる、厳しい家庭で育った。悪いことをすれば、柿の木にくくりつけられ、青竹で叩かれた。親戚が村長を務めていたことから、役場に就職。戸籍係だった。当時は戸籍の発行はすべて手書き。和紙に海綿とガラスペンで台帳から写す。
しかし、水田さんは字をかくことが不得意で、書損が多く、ゴミ箱がすぐにいっぱい。貴重な高価な和紙がくずに。このままでは村がつぶれてしまうと思い、役場を辞めてしまい、鉄道会社の試験を受けた。「字を書くのはいやだ。切符切りがいい」水田さんは、進駐軍専用列車に乗ることになり、英会話の本を20冊購入。配属先は、車掌。しかし、ここで毎日「日報」を提出しなければならず、「字を書くこと」から逃げることはできなかった。
そんな中、「毎日書道展」に入選。上京するきっかけとなった。運命はわからない。通信制で、師匠につき、「日展」に挑戦することに。全国最年少23歳で「日展入選」となった。こうなったら、「道」のつくものは何でもやってやろうと「柔道」「華道」にも挑戦。頑張りやの水田さん。柔道でも全国三位に入賞。書に向かう姿は、柔道家のように、しなやかでかつ気迫あふれる。秋田や仙台からも「手本」要望があり、全国の展覧会に行くと、自分と同じ作風を見かけることもしばしば。使う筆は一本30万円前後。所有する筆は200本。弟子の中には一本100万のものを使っているけど。私はこれで。とまさに「弘法筆を選ばず」。
「文字は不思議です。「寿」という字一つでも、17種類書けます。固い字。柔らかい字。背の高い字。背の低い字。」字を書くことが大の苦手だった水田青年から60年。その経験があるからこそ、懐の深い書道家となったのであろう。「人がわかる字をかくと失敗です。人がわからない字を書けばいいのです。」「書は200枚でも300枚でも無制限で書いてしまいます。だから、わたしは肩こり知らず。マッサージにかかったことがありません。」謙虚で自然体で、飄々と水田さん。独創的な字を生み出していく。
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