トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第一章 「品格のある子ども」ってどんな子?(7)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分で判断して自己管理できる子どもにする
~押し付けないで高い意識で教育する~
高校野球を例に話を進めます。2006年夏の甲子園大会は「ハンカチ王子」の出現で空前の大人気になりました。その王子ブームの陰で、実は球史に残る試合として、長く語り継がれるだろうと思われる試合がありました。
次の試合の結果を見てください。
帝 京 000 200 028 |12
智弁和歌山 030 300 205 |13
(2006年8月17日 第88回全国高校野球選手権大会準々決勝)
結果として負けがついた帝京も、9回2死から8点取ったわけですから胸を張るべきです。勝ち・負けという結果にこだわるのであれば、そんなことを言っても負けは負けだろとなるのですが、負けを背負うのは指導者の仕事であって選手本人たちではありません。
小学生・中学生に接している大人のみなさんは、この試合結果に関する記事は保管したほうがよいと思います。この記事を大人自身が何度も読み返して、8回、9回で10点取る、9回に8点取られても再逆転するだけの集中力を持った子どもを育てるための方法論を常に考え続けることをお勧めします。
この集中力を育てる過程にも、品格ある子どもに必要なヒントがころがっているのです。
私は高校野球の地区予選を見に行くことが好きで、よく観戦に行きます。ほぼ毎年のように、2回戦あたりで必ずこんなチームに出くわすのです。
「ランナーが出たら必ずバントで2塁に送る、2死になっても必ず送る」
本当に判で押したようにワンパターン。徹底しているという部分では百歩譲って評価したとしても、結果としてこのようなチームが勝ち進んだのを見たことがありません。甲子園に出られる戦術かどうかは別として、そもそも「この選手たち、野球をやっていて楽しいのかな?」と思ってしまうのです。
実は、これとまったく同じことが、家庭でも塾でも学校でも、教育の名の下に行われているのではないかと不安に感じています。もちろん幼児期のしつけであれば、強制力を持たせながら徹底させるという手法は必要だと思います。
しかし、幼児期を過ぎた小学校高学年や中学生になってまで、「つべこべ言わないで、言う通りにしなさい!」と目をつり上げて怒鳴ってしまうお母さんは、世の中には多いようです。幼児期を過ぎた子どもに対しては、
・教育を行う必要がある
・これはしつけとは違う
ものであることを、大人の側がしっかり理解しておかなければなりません。
心当たりのあるお父さんお母さん、みなさんのお子さんを、
・どのタイミングで大人扱いするのかを考える
・そこから逆算して考えたときに、今この時期の接し方が、自分で考えて行動する習慣作りに有効な
のかどうかもう一度点検する ようにしてみてください。
予選の2回戦でできないことは絶対に甲子園でもできません。子どもも同じです。13歳、14歳で習慣にできないことは、自力では18歳になってもでき ないと考えるべきです。
だから、親を含めた周辺の大人が、意識を高く持って教育することが重要になるのです。間違っても、時期や状況に関係なく四六時中「いいから言う通りにしなさい」と押し付ける大人であっては、品格のある子どもを育てることは不可能です。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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