トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校入試対策:「数学」を制する者が高校入試を制する
教育クリエイター 秋田洋和論集
②侮れない「埼玉県の数学」のレベル
「埼玉県の数学」の今春の平均点は,35.8点(もちろん100点満点)でした。「公立だから基本問題だけでしょ」というイメージとはかけ離れていることがおわかりいただけると思います。むしろ,長野県と同様に騒がれてもおかしくない難度だと考えるほうが自然です。
得点分布を見ると,最も人数が多くなっているのが「26点~30点」で約18%,70点以上の分布(5点刻み)ではそれぞれ2%以下しかいない状況となっていて,受験者の多くが「20点台~40点台」に集中しています。平均点をみる限り「定期テストと同レベル」とは言えない,これが埼玉県公立高校入試の数学なのです。
次に,問題ごとの通過率を見てみましょう。
平成24年度埼玉県公立高校入試 数学の通過率(単位%)
問題 |
|
配点 |
通過率 |
問題 |
|
配点 |
通過率 |
1 |
(1) |
4 |
98.1 |
2 |
(1) |
5 |
12.0 |
(2) |
4 |
94.9 |
(2) |
5 |
41.3 |
||
(3) |
4 |
94.5 |
(3) |
5 |
8.2 |
||
(4) |
4 |
85.1 |
(4) |
5 |
8.0 |
||
(5) |
4 |
75.6 |
3 |
(1) |
5 |
10.1 |
|
(6) |
4 |
88.4 |
(2) |
6 |
0.4 |
||
(7) |
4 |
61.9 |
4 |
(1) |
7 |
11.1 |
|
(8) |
4 |
38.1 |
(2) |
7 |
3.6 |
||
(9) |
4 |
45.3 |
(3) |
5 |
9.5 |
||
(10) |
5 |
10.5 |
|
||||
(11)ア① |
2 |
66.9 |
|||||
(11)ア② |
2 |
22.9 |
|||||
(11)イ |
5 |
17.1 |
注目するべき点として「大問1が難しい」ことが挙げられます。大問1全体の通過率は60.9%ですが,通過率が10%台の問題が2題あるなど難易度は高く,受験生の中には大問1を解くだけで制限時間の大半を費やしてしまった人もいることでしょう。こうした時間配分や問題の選び方といったテクニックを身につけているかどうかで得点率が大きく変わってしまいます。
通過率が10.5%に留まった(10)は,相似を利用して「新しくできたタワー」の高さを求める問題でした。誤答率が70.9%,無答率が18.5%といったデータも発表されていて,多くの受験生がチャレンジしたけれど正解できなかったことがわかります。(11)は中学1年の学習内容(移行措置)となる「資料の整理」であり,そもそも新課程への準備ができていなかったであろうことと,「自分の考えを記述する」問題となっていることで,満点(5点)を得た生徒はわずか3.6%しかいませんでした。その反面無答率は45.9%と高くなっていることから,おそらく「捨て問」にした受験生が多かったことがうかがえます。
大問2以降は,通過率からも読み取れるように受験生にとってけっして楽ではない問題が続きます。大問2(1)は通過率12.0%に対して誤答率は87.2%(無答率は0.8%),大問4(2)は通過率3.6%に対して誤答率は24.2%(無答率は69.5%)といった具合に,受験生の「正解できなかった理由」を一くくりにすることはできませんから,特に塾に通っていない中学生の方は自分自身で分析を行い,時間配分も含めた準備を進めておかなければなりません。 (つづく)
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR