トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第一章 「品格のある子ども」ってどんな子?(12)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分で考え行動する子どもをどう育てるか
~教えすぎると考える習慣はつかない~
学校・塾・家庭を問わず、指導者に必要なことは、教えすぎないことです。自分で考えさせる時間・習慣を指導者の側が意識しないと、品格のある子どもの育成も合格力の育成も遅々として進みません。まず子どもたちは成長しないでしょう。
その理由は簡単で、みなさん自身が子どもの側であることをイメージしてみるといいでしょう。野球で言えば「外角はこう打て」「ゴロの取り方は」なんて具合に、1から100まで教えられ、指示通りに練習させられていては、とうてい身につくはずがないことはおわかりだと思います。
・なぜこれが必要なのか
・今これをマスターしないと後でどういう場面で困るのか
ということを意識した上で練習することが、考える習慣作りの第一歩になるのです。
多くの子どもたちの生活環境の中で、このような自分で考える習慣作りに最も理解がなく、かえって邪魔をするような場所があるとしたらどこでしょうか?
塾講師の私自身の自戒の意味も込めて、あえて書くことにします。それは多くの場合、塾であると私は考えます。もちろんすべての塾がそうである、なんてことは言えません。
ただ同じように塾を名乗っていても、崇高な理念の下に生徒の成長を真剣に考えるところもあれば、利益優先の下に、生徒の成長なんてまったく考えない塾もあるということです。塾講師である自分が書くことで、少しでもその深刻さが伝わることを期待しているのですが。
最近の塾業界では、面倒見のよさは当然のサービスとされていて、とにかく「トコトン生徒に付き合います」といった文言がチラシに並ぶことが多くなっています。激しいチラシだと、「無料補習100時間保証!」なんてことを売りにする塾もあるようです。
それが親の安心感につながるからであろう、ということは容易に推測できます。しかし、これが子どもをダメにする元凶なんだということに、みなさんには気づいてほしいのです。
ちかみにウチの嫁もご多分にもれず、長男に向かって「勉強しなさい」「テスト準備しなさい」ばかり。とにかく彼が机に向かってさえいれば安心のようなのです。こういう嫁だと、とにかく時間拘束の多い塾、ものすごい量の宿題を課して遊ばせない塾をよい塾と思っていそうで、本当に恐怖を感じます。
・長時間机に向かうからOKということではない
・短時間で結果を出すからOK
でなければ意味がないということがわからないのです。これは子どもに対する過干渉の最も悪い例のひとつだと思います。
いかに勉強時間を短く済ませるかを考えるときにはじめて、工夫やテーマといったヒントが見えてくるものです。
中学校の定期テストであれば、さぼってボロボロというのは論外ですが、時間短縮というテーマの下で準備をして、その結果が少々悪かったとしても長時間詰め込んで結果を出すよりは、明らかに次につながるテーマは見えてきます。
塾というところは、早急に結果を求められる宿命がありますから、多くの場合、品格のある子どもを育てるために必要な視点とは、逆の接し方をしてくる場合があります。
塾にすべてお任せという保護者の方も多くいます。しかし、目先の得点を追うと何かを失うかもしれないというブレーキも、心のどこかに装着しておいて下さい。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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