トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(16)
教育クリエイター 秋田洋和論集
コミュニケーション力と判断力を養う
~言葉の使い方のTPOを教える~
ONとOFFの区別ということで考えると、言葉の使い分けができるかどうかも重要な題材になります。例えば、最近の子どもたちが頻繁に使う「ウザい」「ムカツく」という言葉。友達同士で使うならまだしも、最近の中学生・高校生の中には目上の人に対しても平気で使う人がいます。
私も数年前に、中1の生徒からはじめて「先生ウザいよ~」と言われました。宿題をいつもより多めに出したときのことです。その生徒は顔が笑っていますから、まったく悪気なく普段の感覚でついつい発した言葉なのでしょう。私は怒りを抑えて笑顔で言いました。
「今、俺にウザいって言ったな(笑)。じゃあこれからは俺もウザいって使おうかな? ○○さんはきちんと宿題してこないからウザいよ、なんて言ってもいいの?(笑)」と。生徒は当然「やだやだ」と言うわけです。
「そうだろ、だから俺はキミたちに『ウザい』なんて言わないわけだ。言われて嬉しい人なんていないからだ。ここで大事なことは2つあって、『自分が言われてイヤな言葉・不快な言葉は、たとえ友達に対してでも他人にも言わない』と自分にブレーキをかけろ。つい口癖で言ってしまうなんて言い訳は、『普段何も頭を使っていませんよ』と自分自身で言っているのと一緒で、非常に格好悪い」
「もうひとつは、そもそも先生と生徒は立場が違う。先生は生徒に対して言ってはいけない言葉がある。俺が本気で『お前たちウザいよ』なんて言ったら大問題になるでしょ。大人になるということは『時と場合によって言葉を選ぶ』必要が生じるということなんだ。もう中学生なんだから、『違う立場の人へは言葉を使い分ける』ということをそろそろ意識しようよ」
といった話を、数学の授業中にすることになってしまったのです。
私は、子どもたちが流行語を使うことはまったく問題にしていません。友達や家族と話す調子で、立場の違う人にも話してしまう感覚にビックリしているのです。
それほど親しくない人同士だったり、立場の違う人同士であれば、当然最初は言葉を選びながら少しずつコミュニケーションをとり、お互いの距離感を縮めていこうとします。
ところが最近の中学生には、この距離感が最初からずれている子が多くなっているような気がします。おそらくこの原因のひとつに、小学校の先生の指導が挙げられると思います。
ウチの子の先生を見ていても、非常にフレンドリーに子どもたちに接してくれています。その一方で、友達感覚という部分だけが一人歩きして、生徒の側から見れば先生に「タメ口」(敬語の反対。親しい仲間内で用いる表現)を使うことに違和感がなくなっている部分を強烈に感じます。
だからこそ、品格のある子どもに育てるためには、学校に頼っていてはいけません。親であるみなさんがしっかりと意識を持って、少なくとも小学校高学年にもなれば最低限の言葉の使い分けができることは必要です。
それは、丁寧な言葉を知っているというレベルではなく、小学生にとって最もふさわしい言葉をチョイスできるというレベルです。
少なくとも目上の人へのコミュニケーションのとり方は理解させておきましょう。最初は、お父さん・お母さんを父・母と話すことからでもいいでしょう。
いきなり完璧は求めず、少しずつTPOを教えていきましょう。いつまでも「ウザい」「ムカツく」では、感性を磨くことはできません。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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