トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 「県北の雄」復活へ第一歩熊谷高校を応援する有志の会」が高めた気運をバネに
教育クリエイター 秋田洋和論集
熊谷高校復活へ例を見ない取り組み
かつて「県北の雄」と称され、県内では浦和高校に次ぐ輝かしい進学実績を誇った熊谷高校。全県一学区制や私立高校の台頭の影響などを受け、近年は難関大学、国公立大合格者数が減少し、地元や卒業生らから「なんとか盛り立てたい」「お役に立ちたい」との声が高まっていた。
そんな中、昨年度、卒業生を中心とした「熊谷高校を応援する有志の会」が創設。寄付金を集めて、学校側と協力し、河合塾と提携し難関大学受験のための実力要請補習「紫雲塾講座」を実施した。寄付金申込総額は6/1現在約950万円(345名)。卒業生以外からも集まっているという。こうした取り組みは全国での類例を見ないもので、各地から注目を集めている。
国公立大合格者数は昨年度から倍増
6月1日、2009年度「熊谷高校を応援する有志の会」の総会が開かれた。果たしてその成果は?2008年度入試は国公立大合格者数が70人(現浪計120人)、私立大合格者数430人(現浪計860人)と2007年度入試の国公立大合格者数が35人(現浪計82人)、私立大合格者数339人(現浪計777人)。現役の国公立大合格者数、私立大合格者数、現役合格率、現役進学率のすべてが過去5年間で最高の数字だった。
難関大合格者数は、まだまだかつての輝きを取り戻すまでには至っていないが、スタートとしてはまずまずと考えられるだろう。高橋丘校長によれば、「センター試験受験率が93%と飛躍的に伸びたのは、生徒・保護者・教員のモチベーションが高まった結果。この勢いを続け、2010年の高校入試では県北トップ層の中学生に“熊高回帰”してもらえるよう頑張りたい」と意気込む。
河合塾が都内と全く同じ授業を実施
世話人の一人、関根攻さんは平成20年度の会務報告の中で「大喜びするほどではないが、一定の成果」と評価した。「紫雲塾講座の内容はレベル・スピードともに河合塾が都内で実施するものと全く同一。1教科8コマだから、知識量としては限定的であるものの、保護者や生徒、先生方への刺激は大きかった。皆が前向きに考えるようになったのでは?」と語った。英数2科目各8コマを開き、当初75人だった受講者のうち、最後まで受講を続けられた生徒は25人だったという。
学力向上へ学校も全力
2009年度は、紫雲塾講座受講者へのアンケート、合格者との懇談会を反映させた講座内容とし、英数(文系・理系)各10コマ、現代文6コマ、小論文2コマと昨年度より教科、コマ数ともに増やす予定だ。加えて学校サイドも夏休み中には実力養成補習を47講座開く。さらに、期末考査後の授業6時間(2・3学期4時間)、始業式・終業式当日の授業実施、2学期早期開始等々、授業時間の確保に注力している。OBであり、元大宮高校校長の大谷幸男さん(現・東京成徳大学深谷高校長)は「有志の取り組みが気運を盛り上げたのはもちろん、学力向上に向けた学校サイドの取り組みも見逃せない」という。これが「一定の成果」につながったと考える。
大きな志が必要
共同代表世話人でJR東日本会長を務める大塚陸毅さんは「昨年度はスタート時で十分な準備をもできず、コマ数も限られていた。2009年度が本格的なスタートであり、勝負の年になる。生徒一人一人のためであり、地域のため、ひいては世界における日本のための取り組みでもあるという大きな志を持って取り組んでいきたい」と決意を述べた。
母校の進学成績向上に向けて力を合わせる「熊谷高校を応援する有志の会」の活動は、5年間継続する予定だ。その間に更なる実績に結実させることが出来るか。最初の一歩を、まずまずの成果とともに歩み出したのは間違いない。“熊高方式”の今後に期待したい。
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