トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(21)
教育クリエイター 秋田洋和論集
公の場でのマナーを身につけさせる
~周囲に対する気遣いの意識を持たせる~
特に夏休みなどは子どもたちも交通機関を利用することが多くなります。私は電車を利用して移動する事が多いので、この時期には多くの親子連れニ出会うことになります。
さすがに最近は、車内を動き回ったり大声で騒いだり座席で食べ散らかしたりといった目に余る非常識な子どもの姿は見なくなりました。ほとんどの子どもたちがゲームに熱中しているからです。
親は読書、子どもがゲームの場合が非常に多く感じられるのですが、親の側に子どもを気にかけている様子が見られないケースが最近多くなったような気がします。
例えば、ゲームをしながら座っている子どもが足をブラブラさせていて、隣の人の足にぶつかっているケース。子どもはゲームに夢中ですから、無意識に足を動かしているのでしょう、足が当たっていることなど気がつきません。
被害者のサラリーマンは手で汚れを払いながら子どもと親に視線を向けますが、親子ともにまったくその視線に気づかないなんてこともありました。
目に余る態度とは、大声で話すとかゴミを床に捨てるといったあからさまなものだけではありません。故意であるかないかにかかわらず、人に触れてしまったときには「ごめんなさい」くらいは言うのが当然でしょう。
それが言えない子どもは、一人前と呼ばれる資格はありませんし、その様子に気づかない親はあまりにも鈍感と言わざるをえません。
子どもが他人に迷惑をかけないように観察するのは、当然ながら親の役目です。おとなしくゲームをしているからいいだろうではダメだ、という意識を持つ必要があります。
とりあえずはしゃぐことがなければ、恥ずかしい思いはしないから大丈夫だろうと思っているようでは、公共機関の利用を通して子どもに肝心なことをひとつ伝えていないのと同じです。
どうして公共の場では立ち振る舞いに気をつけるべきなのでしょうか。幼児の親であれば、出かける前に子どもに念押しすることがあるでしょう。「本当にお行儀よくできる?もしもできなかったら、お母さんは怒りますよ。お出かけも中止にします」という具合に。
これは、幼児のしつけという観点で見れば間違いではありません。外では我慢しなければならないことを教えておくことは重要です。
しかし、小学校高学年にもなろうかという子どもに対しても、相変わらず電車ではおとなしくするものだというレベルでの指導に留まっていませんか。
品格ある子どもに育てるためには、小学校高学年にもなれば周囲への気遣いを常に心に留め、ゲームをするかたわら、周囲の様子に気を配る意識を身につけさせることが必要です。
そのためには、親自身が観察眼を常に働かせ、子どもには読書に熱中しているように見せながらも、お年寄りが電車に乗ってくればサッと席を譲ってあげるくらいの演出ができるように準備しておきましょう。
そのくらいのことができてはじめて、子どもにも「そろそろ周囲への気遣いを意識しなさい」と、説得力を持って言えるのです。
その感覚を親自身が持ち合わせていれば、子どもの足が他人に迷惑をかけていることに気づかないなんて鈍感なことにはなりません。親の鈍感さは、品格のある子どもを育てる際に足を引っ張ることになるのです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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