トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(27)
教育クリエイター 秋田洋和論集
夢や目標を具体的にイメージさせる
~説得力のある回答でやる気にさせる~
二次方程式の解の公式をみなさんは覚えていますか? おそらく覚えている方のほうが少ないと思います。でも、この公式が中学校の指導要領から消えたときの騒ぎであれば、覚えておられるのではないでしょうか。
かつては中学生のときに学習し、成り立つ過程はよくわからないけど、とにかく丸暗記して使っていたこの公式が消えた理由として、どなたかが「私は社会に出てから一度もこんな公式は使わなかった」という主旨の発言をされたことで話題になりました。
子どもたちも成長し中学生にもなれば、どうして勉強しなければならないのかについて考えるようになります。しかしそのほとんどが勉強がイヤだから、やらなくて済む理由を探すためであったりします。ですから、
「数学はどうして勉強しなくてはいけないの?」
「論理的思考力を身につけるためだよ」
といったこんなやりとりでは、子どもたちは自発的に数学を勉強しようとするわけがありません。
ましてや大人たちが「二次方程式なんて知らなくても生きていける」なんて発言をすれば、この部分だけを逆手に取って、勉強しなくて済むための大義名分にする子どもたちが続出するのは当然です。
ここで必要なのは「どうやってやる気にさせるか」というコーチングの要素を持った説得力のある回答でなければなりません。それでは、ここではどのように答えればよかったのでしょうか?
実は、この質問をされた時点で、あなたの負けは確定なのです。品格のある子どもを育てるという視点で見れば、この段階ですでに後手後手の対応になっていると考えておくべきなのです。
この質問をされる前に親が子どもに話しておかなければならないこと、これについて考えてみることにしましょう。
みなさんは、あるいはみなさんのお子様は、小さい頃に何になりたいと思っていましたか? 幼稚園または小学校低学年の時期に何もなかったという人は、そう多くはないでしょう。
「刑事になりたい」「ケーキ屋さん」とか言っていませんでしたか? これが中学生にもなれば、その当時より具体的に自分の適性を考えながら、まだ見ぬ自分の将来を思い浮かべるようになるはずです。
野球部であれば、たとえ夢であっても甲子園で活躍する自分を想像したりすることでしょう。実はこれこそが、明日の自分をさらに頑張らせる大きなエネルギーになると言ってもおおげさではありません。
ところが実際には、今の中学生は勉強に部活に塾にと忙しすぎます。私達の頃とは違って、携帯でメールする時間も必要でしょう。私が見る限り、日々の生活に追われ、その日一日を過ごすのが精いっぱいという中学生はとても多いのです。
このような中学生たちに「一年後の高校受験の準備を早めに始めよう」と言っても、その余裕はないでしょう。おそらく一週間前から始める定期テストの準備で限界といったところでしょうか。将来の自分を想像はできても、将来に向けての準備を始めるという考えを持つ余裕はないようです。
しかし、本来であればこの時期は、実現する・しないは別として、将来の夢や目標を明確に持ち、実現に向けての努力をしてほしいのです。たとえ実現しなかったとしても、その過程・思考こそが品格のある子どもに必要な要素であることは、すでに述べた通りです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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