トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(28)
教育クリエイター 秋田洋和論集
夢や目標を具体的にイメージさせる
~夢を想像で終わらせないようにする~
厳しい言い方ですが、将来の自分を想像するレベルで止まっていては困ります。より具体的に、
「想像→理解→実行の段階を踏み始める」
のが、この時期に必要なことではないでしょうか。
例えば、通訳になりたいというのであれば英語だけできればよいのでしょうか?この考えでは幼稚園レベルと言わざるをえません。品格のある子どもであればさらに一歩踏み込むことが必要です。そのトツプレベル、手軽に触れることができるのは海外メディアの同時通訳などでしょうか。
そこでは政治・経済・スポーツ・科学といった幅広い分野の内容を瞬時に翻訳できるだけの知識も必要とされます。勉強という視点だけで言えば、理科も社会もしっかり勉強しておかなければならないと気づくこと、そして日々通訳になるために必要だからという目標を持って勉強すること、これを積み重ねることが大切なのです。
もちろん通訳であれば、日本の文化・考え方を伝えるという大事な仕事もありますから、日本の歴史や文学はもちろん、表現方法やコミュニケーション能力も磨く必要があります。
幸いなことに、現在では多くの小学校で職業調べの時間を取ってくれるようです。自分たちが憧れている職業について調べ、発表するというものです。これを有効に生かさない手はありません。
ある家庭を例に取ると、その家の子どもは漫画家になりたいという希望を持っていました。しかしインターネットや書物で調べるだけでは、漫画家になる方法は確認できても漫画家に必要な視点は出てきませんでした。
そこで、時間がかかることは承知の上である漫画家さんにファンレターを出したのです。「僕は漫画家になりたいのですが、これから具体的に何をすればよいでしょうか」と。具体的に名前を出すことは控えますが、かなり多忙で人気のある漫画家さんです。その子の父親でも読んだことのある作品を書いています。
しばらくして本当に返事が届きました。子どもは文字通り狂喜乱舞、今でも宝物として飾っているほどです。そこには、
・絵だけではなく、アイデアにつながる勉強をしなければならない
・そのために今は学校の勉強を努力すること、読書も大切
といった内容が書かれていました。親が一万回「勉強は大切だ」と言うより、この1枚の手紙のほうに効果があったことは間違いありません。
・勉強はやらされるものではない
・将来の自分の夢の実現のために自らするものだ
これこそが中学生の間に理解しておくべき勉強の目的ではないでしょうか。
二次方程式の解の公式でも「使わないだろうからいらない」ではなく、「いつか使う機会があるかも」という見方をすれば、目標に一歩でも半歩でも近づくかもしれません。
頭だって体だって、鍛えないよりは鍛えたほうがいいはずです。しかし誰でも動機がなければ実際に行動に移すことはないでしょう。だからこそ夢・目標が必要なのです。
私たちのダイエットと同じで、どうしてこんな面倒なことをしなければならないのかが先に来てはうまくいきません。品格のある子どもは、夢や目標を想像で終わらせないための努力を続けることで、自己管理能力を鍛えるのです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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