トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第二章 品格の「土台」を小学生のうちにどう作るか(29)
教育クリエイター 秋田洋和論集
夢や目標を具体的にイメージさせる
~親から見るいい子と品格のある子の違い~
ここまで、品格のある子どもに育てるためにはというテーマで具体例をいろいろと述べてきました。ここまでお付き合いいただいたみなさんには、もう一度考えていただきたいことがあります。
「品格のある子どもに育ってほしいと思うのは、誰のためですか?」
私はここまで、彼ら彼女たち子ども自身のためというスタンスで書いてきました。だから、親は覚悟を決め、子どもたち自身に気づかせるように工夫・演出をしてほしいのです。
子どもたちが努力するのは、あくまでも自分たちの将来のためであって、親のためではないという大前提をもう一度確認しておく必要があります。
ここからは、品格のある子どもは、単なる素直ないい子とは違うという話を進めて行きます。
いい子と聞いて、みなさんはどのような状況を思い浮かべるでしょうか。幼児期であれば、電車で泣いている子どもに対して、いい子だから泣かないでねとあやしているお母さんの姿。
頼めばすぐにお手伝いをしてくれる、一人で留守番ができるなど、こんなときに「本当にいい子ねぇ」と声をかけている様子。
幼児期の子どもに対して、いい子であってほしいと思うのは、(親にとって手がかからない)いい子という意味でしょう。子どもは当然親の保護を必要として生きていますから、親の言うことを聞く以外に生きていく手段がないのです。
だから、親の保護を受けられるように努力するし、いい子になろうとするのです。
逆に見れば、親としては自分の時間を割いてでも子どもの世話を優先しなければなりまません。ですからこの時期のいい子とは、親の言うことをよく聞いて逆らわないとか、手がかからないという意味合いを含んでいるはずです。
もう一度問います。大人が子どもに対して「いい子ねぇ」と声をかけるとき、その大半が(大人にとって都合が)いい子ではありませんか?そして幼児期の子どもは、素直にこれを受け止め(大人の期待通りの)いい子になろうとしますよね。
親としてはっきり理解しておかなければならないことは、
・幼児期の子どもは、子どもなりに努力している
・その努力は何年も続けられるものではなく、何年も続ける必要がそもそもない
ということです。特に後者の何年も続ける必要がそもそもないことを理解している親は、極めて少ないのではないかと推測します。
その証拠に、反抗期を迎えた中学生を持つお母さんと塾で面談をしていると、「本当に昔は素直でいい子だったのに、どうしてこんなに言うことを聞かなくなったのかしら」という愚痴を、本当に高い頻度で聞かされます。子どもは成長し変化するという大前提を忘れ、いつまでもいい子であり続けることを要求するのです。
このような親は、中学生の子どもが「○○になりたい」と言い出すとまず反対します。親自身の要望を押し付けようとするのです。「お前には無理だ」「もっと堅実な道を歩め」と。
そして子どもが失敗したり挫折したりしたときには、間違いなく「だから言っただろう」という発言をして子どもと衝突します。「まだまだお前は子どもだ。世の中がわかっていない。親の言うことを聞いておけば間違いなかったのに」と。
このような親からは、品格のある子どもは絶対に育ちません。中学生の子どもの自立の芽を自らつぶし、いつまでも親の保護下にいることを要求する。これは品格の育成から真逆にある行為です。
大人になるということは、自分で判断し自分で選ぶということです。であれば、失敗や挫折も含めて経験させることが、この時期の親の使命ではないでしょうか。
幼児期であれば、子どもの失敗=親の失点かもしれません。不注意で子どもがケガをしたら、たいていの場合親が責められます。しかし、小学生高学年~中学生になる時期には、まず親の側が子どもの失敗は悪ではない、親の失点ではないと割り切り、子どもより先に親が接し方を変えていくくらいでちょうどいいと思うべきなのです。
具体的に言えば、反抗期が来てうろたえているようでは親として対応が遅いのです。反抗期は自立への第一歩ではありませんか。みなさんにも経験があるはずです。
であれば子どもへの接し方として、
・反抗期がくる前に自立とは何か、自己管理とは何かを経験させておく
・失敗してもいいから自分で判断してみる
・同じ失敗を2回繰り返さないように考える
ことを少しずつ理解させる環境をつくってあげる必要があるのです。
親のため、先生のため、誰かのために努力し続けることは非常に疲れますよね。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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