トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第三章 「中学受験」で品格をどう身につけさせるか(36)
教育クリエイター 秋田洋和論集
自分の経験をすべて正しいと思うな
~父親は古い考えで子どもを振り回さない~
父親がからむトラブルで多い2番目を前項で紹介しましたので、次は1番目を紹介することにしましょう。
近年の著しい受験環境の変化によって、特に高校受験などは毎年のように受験制度が変わる地域も少なくありません。また少子化による生き残りを賭けて、学校間の競争も激しさを増し、5年前がウソのように変身した学校は公立・私立問わず山ほどあります。
あぁ、それなのに・・・・・ずっと地元で暮らしている父親に多いのですが、二言目には「オレの時代は・・・・・だった」と言い出して、話をこじらせてしまうことがあります。父親の頭の中だけが古くて、しかし口はドンドン出してくるわけです。
「A高校?あの高校は、俺らの頃はゼンゼンだめだったよ。そんな高校受ける価値ないよ」などと、すっかり変わって人気校になったA高校に対し、一世代前の価値観で否定する父親をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
まだこれならかわいいほうです。一番困るのが受験で滑り止めの学校を選ぶときなのです。
「行く気もない学校を受験して蹴るなんて学校に迷惑がかかる」
「行く気もないお前が合格になってしまうと、その分不合格になる人が1人出るだろう」
なんて理屈が必ず出てくるわけです。念のために解説します。
現在、首都圏の私立高校では併願推薦制度なるものを取り入れている学校が多数あります。私の時代もそうでしたが、昔の感覚では「推薦入試=単願=受かったら進学」と決まっていました。
しかし、現在は「どうぞウチを保険として使ってやってください」という入試制度になりつつあるのです。推薦という名前がついていても、中身はまったく別のものなのです。
それなのに、現在の入試制度の勉強もせず、自分の経験(というより親自身が受験生当時言われたことなのでしょう)がすべて正しいという価値観を振り回すことは、結果として親自身が子どもを振り回すことになっているわけです。
少々専門的になりますが、多くの私立高校の場合、歩留まりを読んで合格者を出すので、自分自身が合格ラインに到達したかどうかが合否の基準であって、「ピッタリ定員通りにしか合格者を出しません」なんてことはないわけです。
父親自身が受験生のときの公立高校のルールを、現在の私立に重ね合わせようとするのは、無理な話なのです。
私たちは(本人・母親も)、子どもがベストな状態で第一志望校の受験を迎えるために受験校選びをし、受験パターンを組みます。それをいよいよ決定という段になって、今まで存在感まったくなしだった父親が出てきて、「何だ、これは!」とひっくり返そうとする。
これは悲劇以外の何物でもありません。場合によっては、子どものやる気そのものを削いでしまう場合もあるのです。
心あたりのあるお父さんのために補足をすると、この手の父親の多くは、子どもに対する注文も「必ず国立に行け」とか「早稲田はダメ、絶対慶應に」とか、子どもの希望と離れていることも多く、また子どもの現状を把握していないことが特徴として挙げられます。極端な例だと、11月の個別面談の席で親子ゲンカが始まることもあるのです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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