トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第三章 「中学受験」で品格をどう身につけさせるか(47)
教育クリエイター 秋田洋和論集
成長させるカギは「失敗を恐れるな」
~間違えて気づく過程を省略させない~
品格のある子どもの条件を考えるとき、失敗から学ぶことができるという資質は最も重要なことのひとつに挙げられます。
これを育てるのが難しい理由として、前述の通り周囲の大人の間違いや失敗は悪という感覚がその成長を阻むからです。子どもたちが関わるすべての大人たちに協力を求めることは、当然ながら困難です。ですから、少なくとも親だけは、間違いや失敗は悪いことではないと言い続けなければなりません。
・転ぶことは全然かまわないが、もう一度起きることが大切
・その失敗の原因を点検・修正して、常に自分自身のレベルアップを図る
文字通り七転八起です。転びっぱなしでは困りますが、子どもの成長過程で何ひとつ失敗しなかったなんてことはありえません。大人として、大局観を持って子どもに接してください。
では、勉強を例に取って具体的に考えてみます。現代社会においては、どんな職業に就いていても、最小の努力で最大の効果を、より効率的にそしてロスをなくそうといった効率性が重視されます。
そのためどうしても、この感覚を家庭に持ち込み、子どもにもあてはめがちです。しかし、中1・中2、ましてや小学生の子どもたちに、この効率性を要求してはいけません。むしろ、
「楽しんでやった結果がよかった→じゃあ次もやってみようかな」
の循環に持っていかなければなりません。大人から見ると遠回りに見えるかもしれませんが、何回も述べている通り、子どもの成長に遠回りや失敗は当然ついてまわるものなのです。
特に新しい概念を学ぶ場合、その習慣にかかる時間には個人差があります。これは能力ではなくタイプによることを大人が意識していないと、「お前は作業が遅いから、とにかく言われた通りにやれ、サッサとやれ」ということを言いがちです。
目先の結果のみを追求するとはまさにこのことで、「とりあえず方程式の答えは出たけど、どうしてこういう計算をするのかは理解できていない」などという本末転倒な事態が、家庭・塾・学校問わず全国あちこちで日々起こっているのです。
算数・数学では特に、間違えてはじめて気づくことも多いのですが、その発見は生徒自身が手を動かして、試して、その過程でようやく気づくことであり、この重要な過程を省略しようとする指導者は、1日も早くその指導の欠陥に気づかないと手遅れになってしいます。子どもの品格形成は、日々の何気ない所作の積み重ねによって左右されるものです。
最後に、子どもの成績に一喜一憂している保護者へ。
勉強はオセロゲームと同じ。いくら途中が劣勢であっても最後の一手でひっくり返してしまえばいいのです。圧倒的に勝ち続ける必要はまったくありません。
テストの結果でカリカリして怒るよりも、どうすれば子どもが自主的に勉強するのかを人に聞かずに考えてみてください。考える習慣のない親の意見が子どもの心を動かすことはありません。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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