トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第四章 品格を育てられる「学校と先生」の条件とは?(48)
教育クリエイター 秋田洋和論集
生徒の伸びを止める学校も存在する
~統制がとれないでダラダラ続く授業~
この章では、できるだけ学校と先生の実態を紹介していき、子どもの品格形成とどう関わっているかについて探っていきたいと思います。
私の長男が通う公立中学では、定期的に学校公開週間なるものがあります。父として昨年は2回学校へ出かけ、授業の様子を見せてもらってきました。
1回目は入学後間もない中1の授業を見学し、この学校の自然体(?)の様子を確認してきました。
私が見聞したことが公立中のすべてであるはずなどない、ということは声高に宣言しておきますが、世の中にあるひとつの公立中の普段の様子がこうだという事実をお伝えしようと思います。
まず中3の授業です。クラスの3分の1から半分程度がすでに進学先決定という状況で、これから受験本番を迎える生徒とのモチベーションの違いをどのように工夫・調整して授業していくのだろうか、これをテーマに見学させてもらいました。見学した教科は社会です。
「あれ、自習かな?」と一瞬思うほど教室は静かで、よく見ると黒板の前に座っている先生が教科書を読んでいました。1行読んでは解説を口頭で加えるというスタイルのようです。時々黒板に(座ったままで)「イスラエル」とか「パレスチナ」と単語を書く程度。別に地図帳を開かせるわけでもなく、話を膨らませるわけでもなく、淡々と授業は進んでいく様子でした。
よく見ると、やはりずっと後ろを向いている生徒がいいたのです。「柔軟体操でもやってるのか!」と思わずツッコミかくなるほど体をひねり、後ろの席の生徒の教科書に落書きをしてみたり、ヒソヒソと話をしてみたり。先生は絶対にわかっているはずなのですが、知らんぷりして授業を進めていました。
寝ている生徒や放心状態(?)の生徒も見受けられましたが、迷惑をかけないだけマシということなのでしょう。私も「ハァ、なりほどね」と思いながら、早々に教室を離れたのでした。
次に訪れたのは中2の教室。平行四辺形の照明の勉強をしていました。ちなみに、
「平行四辺形ABCDの辺AD、BCの中点をそれぞれE、Fとする。このとき、四角形AFCEが平行四辺形になることを証明しなさい」
という問題でした。先生が黒板に図を描き、「さあこれから板書することを写して」と指示。
実はこの後数分間、先生はずっと黒板と向き合い、生徒は黙々とノートに写す作業が続くのでした。その内容は「証明の一部分だけを穴埋めにし、残り全部を先に板書してしまう」というもの。先生は内容を書き終えると、「別解」を黒板の別の部分に今度は穴埋めすらなく書き始めました。「写し終った人は、今度はこっちを写して」と指示するのみ。
1分たち、2分立ち、やはり飽きてしまう生徒が出始めました。廊下から目立たないように見学している私に気づき、一気に関心が廊下へ。私はすぐ隠れ、少ししてからまた様子をうかがったのですが、この生徒たちはまるで後頭部に目がついているのかと思わせるくらい敏感に、私の気配を察知し柔軟体操のように体をひねらせるのでした。
数分後、先生は一気に証明を書き終え、ようやく生徒のほうに体を向けました。生徒の様子と私の視線に気づき、ようやく机間巡視を始めるのでした。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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