トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第四章 品格を育てられる「学校と先生」の条件とは?(49)
教育クリエイター 秋田洋和論集
生徒の伸びを止める学校も存在する
~ 学習空間を作ることを怠った先生の責任~
数学から遠く離れてしまっている方のために補足すると、平行四辺形になるための条件というものが5種類あり、最終的にこのどれかの条件を満たすことを書き連ねていくことが証明です。
簡単に言えば、証明問題で最も重要なのは、
・どの条件になるのかな?という結論をまず推測する
・次に自分で検証する
ことなのです。結論から逆算して必要な情報を取捨選択する練習だから、平行四辺形という題材にこだわらなければ、普段の生活や仕事でも当然意識しなければならない感覚であることはおわかりいただけるのではないでしょうか。
主婦の方であれば、12時から友人とランチという日には、そこから逆算して掃除や洗濯などの時間配分を考えるでしょう(今日は家事お休みという人もいるかもしれませんが)
もちろんどんな仕事でも、その段取りは必ず締切から逆算して組み立てるのではないでしょうか。
野球で言えば、5球目のスライダーを決め球にすることから逆算して、初球・2球目・・・・・と配球を決めていく感覚。プロレスで言えば、四の字固めをフィニッシュにすることから逆算して、序盤から足を中心に攻撃していく。その題材のひとつが平行四辺形というだけなのです。
ちなみに私が授業する場合であれば、最初に図を提示した後、5種類の中のどれを使うことがベストかということを第一に考えさせます。何度でも書きますが、結論を想定し逆算して矛盾がないか検証することは、数学、図形問題を解く上で欠かせない視点です。
ノートに書く前に自分の頭の中で検証は終わっているわけですから、証明を書く作業は最後の行為となります。照明を穴埋めで書かせると生徒はできた気分になるだけで、実際には何の力もついていないということが、もしかするとこの先生には理解できていないのかもしれまません。
この学校の中1の様子は、彼らの入学直後、1学期の学校公開の際に見学させてもらっていました。そのときの様子、入学して一カ月あまりとは思えない授業風景も紹介することにしましょう。
私は教室後方の出入口付近で授業の様子をのぞいていました。つまり先生と付き合っている形で、生徒たちの背中を見る形になります。
たかだか入学して一カ月、まだまだ緊張した面持ちで授業に臨んでいるのかと思ったら、なんと授業中ずっと私と目が合う生徒がいたのです。つまり四六時中後ろを向いているのです。驚くことに先生はと言えば、教室前方で授業を受けている生徒の様子はチェックするものの、後部の生徒の状況は見ていないのです。解答を生徒に板書させ、それを添削するスタイルの授業でしたが、生徒が板書している間も机間巡視をするわけでもありません。
簡単に言えば、統制がとれていない授業がダラダラと続いていくのです。これが入学直後の授業風景なのです。念のために述べておきますが、これは生徒が悪いわけではありません。入学直後にきちんと授業の受け方を指導し、コントロールが効いた学習空間を作ることを怠った先生の責任に他ならないのです。
この光景を目の当りにしたとき、私は体裁を繕ったよそいきの授業をみせるのではなく、あえて普段通りの授業を見てもらおうとしたのだろうと、この時点では好意的に解釈しました。なぜこの時点だったかと言えば、とうとう最後までアンケート用紙の類は1枚も渡されなかったからです。
つまり「授業をみてもらって声を拾い、改善していこう」という主旨を、この学校がまったく持ち合わせていないことがわかってしまったのです。だから私には何のための学校公開なのかよく理解できなかったのでした。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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