トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第四章 品格を育てられる「学校と先生」の条件とは?(56)
教育クリエイター 秋田洋和論集
数学の危機は算数からはじまっている
~インドと日本の小学生の計算力の差~
事実かどうか定かではないのですが、インドの小学生は19×19までを暗記しているという噂(?)を耳にしています。
インドの理数教育は日本にとって脅威であると語る人が私の周りに複数いたり、インドの理系大学の求人が全世界的に絶好調なんて話を聞いたりすることもあって、「19×19までを暗記」も信ぴょう性があるわけです。「日本の危機」は、もうそこまで来ているのかもしれません。
2007年4月に全国一斉学力テスト(文部科学省「全国学力・学習状況調査」)が、小6・中3対象に行われたことは記憶に新しく、ご存知の方も多いと思うのですが、実はこの手の学力調査は、2006年度にも実施されているのです(全国一斉ではありませんが)。ここでは、2006年度に実施された小4~中3対象の学力の結果について紹介します。
この学力調査結果については、一貫した論旨の展開や数学的な思考が苦手な小中学生が多いと、マスコミでも報道されました。「3+2×4」(正答は11)という基本的な四則混合計算では小5の3分の1、小6の4割強が誤答し、深刻な計算力不足がうかがえるとしていました。
計算に関して文章で表現する力は弱く、小6の「100円のチョコレートが2円引きで売られているが、35個買うといくらか」という問いに対する正答率は57%。しかし、暗算で求めるための工夫を書かせたところ、正しく表現できたのは51%で、6ポイント下回ったというのです。
しつこいようですが、もう一度繰り返します。
・インドの小学生は、19×19まで暗記している
・それに対して、日本は小6は98×35の計算をおよそ半数が間違える
・しかも、暗算しようとしない生徒がまさに半数
みなさんが小6のときは、どうだったでしょうか?暗算はともかく、クラスの半数が間違えるレベルの問題でしたか?
ただ、計算の工夫という視点だけで言えば、私はまったく心配していません。いわゆる普通の優等生であれば、小学生の教科書程度の問題は計算の工夫に気をつけなくても、力ずくで解いて正解できてしまうので、工夫する必要がないまま学習が進んでいることがあるからです。
大人は、5a+3a=8a という計算を経験しているので、説明せよと言われてもイメ―ジが湧くのです。しかしこの概念を持たない小学生にとっては、これを工夫とは感じ取らない場合が多いようです。
中学生になって、文字式を学習し、円周率がπになってはじめて、結合法則・分配法則を実感する子どももかなり多いのです。
むしろ心配なのは計算力です。2桁×2桁の掛け算が筆算しても正解できないのでは、中学生の学習内容も苦労するだろうと予想できます。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
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