トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 品格ある子どもの育て方第四章 品格を育てられる「学校と先生」の条件とは?(61)
教育クリエイター 秋田洋和論集
学力低下の防止よりも学力向上を考える
~答えを吟味できるかどうかは重要な学力~
「『計算の力』の習慣に関する調査」の中では、
「5年生の小数同志のかけ算0.7×0.4の正答率が56%と低く、98年より21ポイント低下した。2.8という誤答が最も多く、37%あった」とも報告しています。
98年より21ポイント低下!というのは別の驚きもありますが、この結果から危惧するのは、0.7×0.4を0.7の0.4倍と読めているかどうか、0.4倍ということは元の数字より小さくなるということを意識しているかどうか、この2点です。
①0.7の0.4倍と読めない場合、これは九九の段階で暗記に走った事が推測されます。丸覚えに走ることで2×3を2が3個とイメージしていないから、○倍の発想についていけなくなるのです。
②0.4倍ということは元の数字より小さくなることをイメージできていない、これが割り算重視の弊害です。割り算による処理の前に、テープの問題であれば、
・0.6=1.5×○倍 が理解できる
・○が1より大きいのか小さいのかイメージできる
という段階を踏んでから、割り算でいきなり処理していいよ、となるべきです。
この途中経過を省略して「この場合は割り算で~す」などという指導が行われているとしたら、○を2.5と計算してしまっても平然としている子どもが続出するのです。
同様に0.7×0.4=2.8としてしまうのは、単なる計算ミスでもなく計算練習不足でもなく、もっともっと深い問題が根底にあることを知ってほしいわけです。
中学生でも、ありえない誤答があります。速さの文章題でマラソン大会と書いてあるのにA君の速さを分速40mと書く女子。1500m走に30分かかることをイメージすればおかしいとわかるだろうに。同じように電車の速さを時速900kmと書く子(分速900mを変換し忘れた)もいれば、車の速さを時速7kmと書いたり(自転車のほうが速い)など。
計算ミスとかというレベルではないありえない答えを堂々と書いている子供たち。あと数年もすればみなさんの職場にも登場するでしょう。いや、もう登場し始めているのではないですか?社会に出て行く上で最も重要な学力、それは、
「自分の結果を吟味できるかどうか」
ではないでしょうか。一度振り返って点検する。それだけで防げる事故やミスも多いはずです。これに気づかせるのは大人の仕事です。
もしも算数・数学を教えている人で、今回の計算の調査結果にハッとする人がいたら、あなたも今の時代なら学力不足と言われているのかもしれません。ちなみに私は、英語なら明らかに学力不足ですが。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR