トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 『県政の深海魚 “政海” に潜む野望と欲情の司祭』地方政界舞台裏のすみずみを活写!
教育クリエイター 秋田洋和論集
政界とはそれほど関係のない世界で生きる人々にとって、そこは深い海のようなものだ。「国政だろうと地方だろうと、奥深い暗部が横たわっているのだろう」くらいにしか想像できない。時たまメディアを賑わせる汚職事件は氷山の一角で、騙し騙され買収に収賄と日常茶飯事なのでは?そう、深い海に蠢いている者どもは、まさに深海魚。そんな想像を巡らす人々に、まさに一つの答えとも言える新刊本が、鹿島修太『県政の深海魚 “政海”に潜む野望と欲情の司祭』だ。
海千山千の深海魚が跋扈する市議会や県議会を堕落することなく生き抜いてきた鹿島氏。『埼玉の政界秘話PART1 その時、改革の狼煙はあがった!』に続く、自身の体験をもとに著した地方政治小説第二弾となる。
結論から言うと、本書から伺える地方政界の裏事情、蠢く人物模様は、想像をはるかに上回るものだ。市議会議員から県議会へと打って出た主人公の信濃春彦は、腐敗した保守党を変革すべく仲間たちと政策集団、県政同志会を結成する。そこに立ちはだかるのが、保守党&県議会のボス、千曲だ。彼こそは、想像を絶するほどに頑丈な、まさに“深海魚”。理念や理想など微塵も持たないが、自らの権力を保持するため奸計に費やす情熱は誰にも負けない。春彦ら県政同志会と千曲一派の闘いは激しさを増していく。
こうしたどろどろした地方政界の実態を描いているにも関わらず、本書には一貫してポジティブな空気感が流れている。それは、春彦や彼の周囲の仲間たちが、闘いの中にあっても、常に理想を失わず他者を信じる心を持ち合わせているからだ。政治家たるもの清濁併せ呑む覚悟がなければ務まらないのは言うまでもないが、高い“志”を持ち合わせているか否か。そんな政治家のコトバだったら、間違いなく私たちの心に響いてくるはずだ。
常にぶれることなく前を向いて歩く春彦の姿を通して、爽やかな読後感が感じられる作品だ。読後、気になるのは春彦を想い、支えてきた女性新聞記者、礼子と春彦の関係。その成り行きは、続編に期待したい。
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