トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 郷土書籍探訪①『関東郡代伊奈氏 坂東太郎へ虹かける』
教育クリエイター 秋田洋和論集
江戸初期、利根川の治水工事事業に一族の情熱をかけた伊奈氏の足跡を聞き深い感銘を受けた著者・志賀久男さん。たまたま伊奈忠治が築いた陣屋が志賀さんの自宅から車で15分ほどのところにあり身近に感じるようになったっという。忠治が関東の治水・利水事業の拠点としたこの陣屋に通ううちに、志賀さんは伊奈一族のことを「もっと知りたい」と思い、資料の収集を始めた。
利根川東遷や関東郡代伊奈氏に関する資料の収集を進めれば進めるほど謎は深まるばかりだったようだ。「なぜ、利根川の流れを変える必要があったのか」、「なぜ幾代にもわたって行う必要があったのか」、「どのような工法が用いられたのか」、「なぜ、このような工法を用いることができたのか」・・・。研究者の間でも、利根川東遷の本当の理由は、肝心なところがよく分からないといわれているという。伊奈忠次がなぜ利根川東遷を家康に進言したのか。本書の大きなテーマの一つだ。
収集された膨大な資料をもとにこうした謎に挑んだ労作が、本著『関東郡代伊奈氏 坂東太郎へ虹かける』である。伊奈忠治・忠治ら伊奈氏4代60年にわたった遠大な治水事業が、徳川幕府繁栄の礎を築いたとも言える。この伊奈氏の使命感に感応したかのような著者の筆致は、利根川東遷&関東郡代伊奈氏研究の決定版とも言える迫力がある。
志賀さんは「埼玉の歴史はまさに水害の国土からの脱皮ではなかったか」と書いている。かつて治水・利水事業は国家の一大事であり、民が生き延びるための生命線だったのだろう。人生はおろか一族の総力を上げて大事業に挑んだ関東郡代伊奈氏の思いが、志賀さんの文章を通して現代に蘇ってきたようだ。
≪書籍購入問合せ先≫
志賀久男
〒332-0001埼玉県川口市朝日町6-4-6
TEL 048-224-9410
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