トップページ ≫ 社会 ≫ 教育 ≫ 大人でも戸惑う「公立中高一貫校受験」のいま(2)
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〇 公立中高一貫校の出題傾向とは
都立中高一貫校における共通作成問題は,もちろんこの1題ではありません。このうるう年に関する問題は大問の1つにすぎず、他には「前回の東京オリンピックから現在に至るまでの人口や経済状況の変化を、グラフや表から読み取って答える」「水からものが飛び出す様子についての実験結果分析」があり、全部で大問を3題解かなければなりません。
しかも実験結果分析に関する問題は、図が多いことも要因に挙げられますが、なんと5ページにわたる問題文を読み進める出題となっており、記述式解答の多さも加わって子どもたちに課されるスピードは大変速いものとなっています。もちろ
んこれに学校が独自作成した問題も解かなければならないのですから、かなりのトレーニングを積んでおかないと集中力を維持させるだけでも大変であることが予想されます。
このように,公立中高一貫校で出題される問題の多くは私立中学の入試問題とも異なる部分が多く、「その場で考え、表現する」部分が強調されています。いわゆる「解き方」のトレーニングを積むだけでは対応できない資質が問われ、問題の題材が日常生活の中から拾われているので普段からの「知的好奇心の差」が試験の出来を左右するケースも少なくありません。
私立中学と公立中高一貫校 出題傾向の違い
公立中高一貫校 | 私立中学校 | |
---|---|---|
内容 | 指導要領範囲内 | 指導要領範囲外も多い |
解答 | 正答は一つに限らず、複数あることが多い | 決まった正答がある |
教科 | 教科横断型 | 算国理社の4教科が多い |
出題傾向 | 極端な傾向はない | 学校ごとに傾向が異なる |
今回紹介した「うるう年」も、初見の人では大人子どもを問わずスラスラと解き進めることは難しいテーマでしょう。塾に通っているかいないかによらず、勉強としてではなく「知識」として普段の生活から情報を得ていたかどうかの差が大きく明暗を分けるのです。
今年度の問題だけでも、レコードを題材にして速さの計算をさせたり(レコードって何?という子どもも多いはず)、環境問題は当然のこととして「日本製品の販売拡大策」を考えさせる問題を出題する学校もありました。公立中高一貫校で問われる内容に対応するためには、大人でもやり込められてしまうくらいの読解力・表現力に加えて一定量の幅広い知識を持っていることも受験準備の前提条件なのです。「ウチは埼玉だから東京のことは関係ないわ」と他人事にせず、私立中学受験の用意をしていない御家庭であっても、一度は公立中高一貫校の問題に目を通してみることをお勧めします。親子で一緒に考えてみるのもよいでしょう。 (続く)
秋田 洋和
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