トップページ ≫ 社会 ≫ 教育 ≫ 大人でも戸惑う「公立中高一貫校受験」のいま(3)
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〇 けっして楽ではない受験準備
こうした背景から公立中高一貫校志望者に対しては、一部の難関私立中学受験志望者向けのような「学校別の傾向と対策」を事前に講じることにあまり意味がありません。「子ども自身がこれまで学んできた知識とその場で発揮する観察力や思考力を用いて、問いに対して何を考え結論とするのか」が問われますから、これから大きく変わると言われている大学入試とほぼ同じ視点が,お子様の小学校卒業段階ですでに要求されているとお考えください。
5~6年前であれば、公立中高一貫を考える保護者の中には「私立中学に比べたときの受検準備に対するハードルの低さ」に魅力を感じる方も数多くいらっしゃいました。「公立中高一貫校であれば、私立受験ほどのハードな受験勉強は必要ないから」「公立中高一貫校のことはよく知らないけれど、公立中学に通わせるよりリスクが少ないと思って」といった声が、私にもよく聞こえてきたものです。
しかしながらその準備に要する手間の実状は、今回紹介した問題の性質からもわかるとおり、決して楽なものではありません。自分の意見を書くということ1つをとっても、他の人の意見を聞くことによってはじめて得られる「こんな考え方もあるんだ」という気づきの有無が論の進め方に影響を及ぼすことはいうまでもありません。ここでいう「他の人の意見」というのは、塾に通っている人を別にすれば、保護者が子どもと同じ条件で参加し考えた末の「私ならこう思うわ」が最も身近で参考になるものですから、保護者の時間的な負担も大きなものになっていきます。前述のような軽い動機では親子ともに受験準備が続けられないケースもあることを覚えておいてください。こうした事情が知れ渡ってきたからでしょうか、埼玉県の公立中高一貫校の受検倍率は一時期のような2桁に達するような勢いは影をひそめ、昨年度と比べてもやや低下する傾向が見てとれるのです。2015年度の中学入試の倍率は伊奈学園が8.9倍、市立浦和が6.1倍でした。伊奈学園は2004年度に15.5倍、市立浦和は2007年度に25.2倍という倍率でしたから(創立時)、公立中高一貫校の受験事情がこの数年で新しいステージに進んでいることがおわかりいただけると思います。
秋田 洋和
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