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コラム …雪んこの頑張って咲きます♪
初体験だった。
この目で、この耳で、初めての体験。五感にビンビン響いた。
その場所はジャズバー。
ジャズバーへは何回か足を運んだことはあるが、生演奏をするお店は初めてだった。
ジャズを聴きながらグラスを傾ける。いや今宵は、グラスの液体よりも、楽器の奏でる音に酔いしれた。
楽器は、ピアノ、ドラム、トランペット、ベース。
4人の持つ楽器がまるで小説の起承転結のように、物語をつくる。そしてまた音から音を繋ぐリレーのチームワークがその音を一層上質で重厚なものにした。
私の隣で友人はこんなことをポツリと言った。
「枯れてるね」
私はこの言葉に一瞬耳をうたがった。この音が枯れているイコール終わっているという意味なのか。思わず枯葉が頭の中に浮かんだ。
「ン、どういう意味?」との私の言葉に「熟練されてるってことだよ」と教えてくれた。
この答えから、私の頭から枯葉が消え、ワインが浮かんだ。
ワインでいえば、熟成されたものの方が独特の風味をもち、他にない深い味わいをつくりだす。そう深みなのである。
勿論、演奏している方々も、見るからに熟練の域に達しているであろう方々であった。演奏家として、人としての円熟味が力みのない音質をつくりだしていた。
この日、この店に入る前にワインと美味なる食事を囲み、女3人で昔話に花が咲いた。
枯れているという意味を教えてくれた友人は、仕事もバリバリこなしていたが、「ジャズを習おうと思っているの」と夢を語ってくれた。
勿論、彼女は幼少時代から大学でもピアノを専攻していたので歴は長い。
夢でなく、近い将来で現実のものとなるにちがいない。
ジャズがつくりだす独特の空気感を感じながら、時計の針をみて、後ろ髪をひかれる思いで店をあとにした。
興奮冷めやらぬまま帰宅したのち、ジャズバーでピアノを弾く彼女を想像した。
好きなピアノを繊細に操る、輝く彼女とその音色に陶酔している私。
彼女の夢がまた、私の夢ともなった今宵であった。
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