トップページ ≫ 社会 ≫ 女性の貧困問題解決に向けてシンポジウムを開催~「女性と貧困問題を労働の視点から考える」
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
日本弁護士連合会人権大会プレシンポジウムとして、9月12日埼玉会館2階ラウンジにて「女性と貧困問題 労働の視点から考える」が開催された。
先ず、雨宮処凛(あまみやかりん)氏 (作家、活動家、反貧困ネットワーク副代表)の「女性の貧困問題について」をテーマにした講演が行われた。インタビュー形式で自身の経験を交えながら、貧困についての社会的背景や問題点を挙げた。女性の貧困を招く原因に「非正規雇用、低賃金労働といった不安定な労働条件」のほかにも、「企業、社会における女性への慣習や差別」といった女性の立場の弱さがある。金銭的、時間的に加え、精神的余裕を失い、自分で自分を責める傾向にあるので、「時間をかけて情報を集め、深く掘り下げて考える思考を身につけることが大切」と述べ、さらに「人が困らない程度に生活できる基盤を作ることよりも、経済の方が重要という政治」、「餓死、過労死、過労自殺、経済的理由による自殺がなくなることが貧困解消の目安となるが、達成できていない」といった状況や制度の不備に問題があると指摘した。
次に、赤石千衣子(あかいしちえこ)氏(NPO法人しんぐるまざーず・ふぉーらむ理事長)が登壇し、「シングルマザーの現状と課題」の報告があった。状況が異なるシングルマザー3人のケースを、抱える問題や苦しみはさまざまと紹介。「最低賃金すれすれ、不安定な非正規雇用」で働く母親の割合が全体の半数以上、「児童手当や児童扶養手当の支給が4ヶ月に一度のため月別の収入に大きなばらつき」があるので、安定した生活が難しい。「子供の保育所不足」で思うように働けない。「貧しいことを周りに悟られたくない」ために人知れず悩み苦しんでいる。こうした現状は、公的制度等施策の周知度を上げる必要性のほかに、シングルマザーに対しての正しい理解や支援団体への寄付などによって、貧困改善に繋がると結んだ。
最後に当事者からの声として、「非正規労働の現場から」、「シングルマザーの立場から」と、一人ずつ発表があった。「非正規雇用から正規雇用へステップアップすることの難しさ」、「福利厚生のない非正規雇用で子供を育てながら働く困難さ」にあっても、自分にできる努力をすることで貧困から抜け出せた経緯をそれぞれ述べた。
女性の貧困は表から見えにくいが、貧困に苦しんでいる女性が多くいる状況が周知され、個人の問題ではなく社会全体の問題と認識されることがまずは必要と感じた。
岡 アヤコ
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