文芸広場
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年に数回おいなりさんを作る。子供の運動会と無性に食べたくなったとき。もうすぐ小学校の運動会があるので、今年もおいなりさんを作るつもりだ。
酢飯に煎り胡麻をまぶしたシンプルなものだが、酢飯の味が意外と難しい。いなりの味とバランスよくいかないのだ。すし酢を買ってきて使えば簡単なのかもしれないが、せっかくなので自分好みの味にしたい。そんな気持ちで毎回挑む。しかし、満足のいく味になった試しがない。一度でも「これ」という味に仕上がったら、調味料の分量と味を頭に刻み込み、その味を思い出しながら作るのに。
理想のおいなりさんにはなかなか近づけないが、作るのは楽しい。甘さと酸味のバランスがよく、角の立たない優しい味で、酢飯がパンパンに詰まった大きなおいなりさん。それを頬張る家族を想像しながら作る。
いなりに酢飯を詰めたそばから子供たちが食べていく。「おいしい」と言ってくれるとうれしいものだ。私の中では失敗でも、子供たちにとっては、いつもどおりのおいなりさんなのかもしれない。
私の理想とするおいなりさんにはまだまだ遠いが、子供たちにとってのおいなりさんが「母の味」となってくれているのなら、味の理想は求めないほうが案外うまくいくのかもしれない。
岡 アヤコ
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