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コラム …男の珈琲タイム
巨人の原監督が辞めるという。巨人の情けなさを観ていれば、原巨人は終わったなと誰もが思いを同じにしたにちがいない。次は江川卓氏が有力候補だという。おもしろいかもしれない。原も江川もスターだ。花の野球人生を生きてきた。一見華々しくみえる野球人だが、それはほんの一握りの人達だ。島野修。華々しい高校野球を過ごし、昭和43年ドラフト1位で巨人に入団した。当時はドラフトの花の時だった。星野や山本や田淵も6大学野球のスター達が巨人以外に入団し、それぞれが実績を残し、プロ野球に足跡を残した。しかし、島野は違った。せいぜい一年で野球人生を終わったといってもよい。体調を崩し、プロではもたなかった。一時はコーヒーショップを経営し、それなりに盛った。にもかかわらず、島野は野球を忘れることはできなかった。結果として、阪急の着ぐるみ役者に転向。さんざ、マスコミにもたたかれた。あのドラフト一位が着ぐるみに転落等々。観客から罵倒や怒号を浴びせられた。着ぐるみの中は夏など45度以上にもなって、耐えることは苦痛の極みだった。何回も辞めようと思った。着ぐるみの中の惨めな自分とグラウンドでプレーする花形達。ヤケ酒の日々。そんな時、ある親子が食事をしていて、「お父さん、野球よりもあの着ぐるみを観に連れてって」というセリフを聞き、ふるい立った。島野はおどけ、逆立ちし、宙返りをして、道化に徹した。プライドも捨てた。日本一の道化師になろうと昼夜を忘れた。星野も田淵も山本も、昼夜スターとして輝き続けた。原も江川も後に続いた。島野は孤独な着ぐるみの中からそんな外界を感じながら道化に徹したのだ。その後またまた体調を崩し、遂に59歳の人生にピリオドを打った。
人生はいつの世も花型と道化の悲しみで成り立っている。夏が崩れ、秋の葉音を聴くといつも私は道化の涙の色を浮かべ、裏を見せ表を見せて散っていく枯葉にかつての花形島野修のうら悲しい人生の色彩を見るのだ。
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