トップページ ≫ 社会 ≫ 新国立競技場の最終選考に残る巨匠の設計美術館を川越で観覧しよう♪~ヤオコー川越美術館
社会
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小江戸川越の縁結びで有名な氷川会館裏に美しく佇むヤオコー美術館。
その名の通り、県内でも有名なスーパー「ヤオコー」の美術館である。
ここを訪れるのは三度目だ。
緑と池に囲まれた、こじんまりした瀟洒な建物に毎回癒される。
いや、今回は違った。この美術館の外観に驚嘆した。毎回、正面からでしか見ていなかったが今回はその側面を見た。その光景は富士山の雪が顔をだすかのような一風変わったものだった。なぜだろう。なんの意味があるのだろう。
美術館の中に入るとその謎が解けた。
美術館の絵画の展示室は二つの空間に分かれている。
光が注がれる明の空間。スポットライトからの小さな光の暗の空間。
その明の空間は、天上が富士山のように盛り上がり、屋根から陽の光が落ちてくるのだ。
自然の暖かな光が緻密に描かれた絵画を一層美しく温かく映し出す。
それとは逆の暗の空間。
暗闇の中にわずかな造られた光がひっそりとリアルな絵画を照らす。
そう、ここで私は二年前、二枚の絵を見て、密かに涙を流したのだった。
(センセーショナルな絵画に出会うhttp://www.qualitysaitama.com/society/23244)
その絵のタイトルは「生きる」と「老いる」。
「老いる」は、第19回安井賞を受賞した作品である。私はこの絵に魅せられ、命とは何かをあらためて考えさせられた。あれから、多くの美術館に足を運んだが、この絵以上に心が動いた絵に出逢ったことはなかった。
あのときの絵は、哀愁と愛に満ちたものだった。
その二枚の絵が今回は明の展示室に移動していた。
三度目の余裕なのか、陽の光のせいなのか、私の心からは哀愁が消え去っていた。
さらに、同じ部屋に掲げられた枯れた向日葵から目が離せなかった。
ひとによってはただ枯れている向日葵かもしれない。
しかし、画家である三栖氏は、枯れたあとの向日葵を雄々しく、美しく描いていた。
その向日葵と二枚の絵のモデルである、画家の母が重なった。
命とはこんなにも凄まじく、繊細で、いや、儚いからこそ、美しいものなのかもしれないと。
美術館の設計の新たなる発見、二枚の絵への新たなる感情。
何度来ても、私の心に響くものだ。
美術館には30点ほどの絵画が常時並ぶ。
収蔵庫には200点のものがあるため、年に二回ほど入れ替えられる。
どの絵も画家三栖右嗣氏の心と眼のレンズがその被写体を繊細にとらえた鮮明な写実作品だ。
また、タイトルにも述べたが、この美術館を設計した伊東豊雄氏といえば、一昨年、建築界のノーベル賞であるプリツカー賞を受賞した世界中から認められた建築家である。そして、この巨匠の建築をみようと 世界各地からの訪問者が多い。
巨額な総工費等の問題で見直しになった新国立競技場。大手ゼネコンが双方に付き、隈研吾氏と伊東豊雄氏の一騎打ち。その頂上対決の行方が気になるところだ。
芸術の秋、埼玉が誇れる美術館で、一廉の芸術家二人の作品にふれてみてはいかがだろう。
ヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館):川越市氷川町109-1
入館料 一般300円/高校生・専門学生・大学生200円/中学生以下無料
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
開館時間 午前10時から午後5時(入館は午後4時半まで)
駐車場 15台
URL:http://www.yaoko-net.com/museum/
古城 智美
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