トップページ ≫ 社会 ≫ 映画によるまちづくりを目指して~岩槻映画祭の歩み
社会
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「映画祭」と聞いてまず思い起こすのは、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭といった世界的に有名な映画祭で、コンペティションの受賞作品は興業的にも非常に高い宣伝効果を得られる。開催都市においては文化的に高いイメージを与えることができる。フランスのカンヌ市はリゾート地としても知られているが、映画祭のおかげで人口は7万人しかいないにも関わらず世界的に有名な都市になっている。このような世界の注目を集める国際映画祭とは規模が異なるものの、日本国内においても100近い映画祭が毎年開催されていることを知っているだろうか。たとえば、1990年から開催されている国内の映画祭の草分けの一つ「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は、北海道夕張市を舞台に街のイメージ向上、観光施策を目的として開催されている。
さいたま市では、2014年に「岩槻映画祭」がスタートしている。この映画祭を立ち上げたプロデューサーの吉永篤史さんは、高校時代から映像制作に携わり現在は映像制作会社を運営している。埼玉県の映像立県の力になりたいとSKIPシティに会社を移した吉永氏は、さいたま市にご当地映画祭が無いことに切歯扼腕し、自身が在住している岩槻から映像文化を作っていこうと「岩槻映画祭」をスタートさせた。映画館の無い岩槻で公共のホールを使っての開催だった。映写のプロジェクターが十何年も使われておらず、かぶっていたホコリで熱がこもるというアクシデントもあったという。それほど初めてづくしのスタートだったようだ。
第1回の開催の後、岩槻での映像文化の定着に向け、吉永氏はロケーションサービスを立ち上げ、映画やCMその他映像作品を作成したい団体のサポートも始めた。ロケ地情報やエキストラの提供に加え、専門のプロスタッフの紹介も行うという。来年公開の「まなざし」(卜部敦史監督 根岸季衣主演)という映画は岩槻をメインロケ地にしている。また内野聖陽主演「罪の余白」は岩槻の人間総合科学大学で撮影された。
昨年2月に開催された第2回では、地元を舞台にした映画を作りたいという想いから「さいたま市岩槻市合併10周年記念短編映画」として短編映画「つきものがたり」を制作・上映した。制作にあたっては吉永氏自らメガホンをとり、シナリオ原案・出演者などを地元で公募し、資金もクラウドファンディングで調達するなど市民参加によって完成できた。
約30回を数え毎年著名監督・俳優が来祭する高崎映画祭に匹敵する映画祭に将来的にしたいと、吉永氏は言う。埼玉県内の城下町といえば川越と岩槻。同じ城下町である川越に負けないよう、映像を核にしたまちづくりに取り組みたいという想いが吉永氏の原動力のようだ。第3回岩槻映画祭は来年2016年4月2日、3日に開催が予定されている。それに先立ち、今年11月にプレイベントが行われた。吉永氏をはじめ上映作品の監督らによる映画・アートを通じたまちづくりについてのトークセッション、そしてさいたま市を舞台にした長編映画製作プロジェクトの製作発表が行われ、第3回にむけていよいよ始動開始だ。さいたま市は浦和や大宮といった個々のエリアの健全なライバル意識が市全体を発展につながる。岩槻が映像文化を核に発信力を持っていくことこそ、岩槻のまちづくりそしてさいたま市の魅力づくりにつながっていく。岩槻映画祭のさらなる発展に注目していきたい。
小林 司
- 参考
- 岩槻映画祭
- http://iwatsuki-moviefes.com/
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