さいたま市中央区の居酒屋は連日大にぎわい。

何しろ、50人から100人近い客の料理を時には一人でさばく。しかも８割がたは創作料理だ。その手ぎわの良さはもう天才といってよいぐらいだ。シェフの名はシュンちゃん。大学の法科を出てマスコミ関係の仕事をしていたが、オーナーとの縁で料理道に入った。

沖縄出身のオーナーは30代のイケメン。頭の回転も早く、誠実だ。シュンちゃんはその一番弟子だが、いまではオーナーを超えているとの評判だ。野菜サラダのドレッシングはこれまた人気。５種類ぐらいの野菜がドレッシングのマジックにかかったように妙味を出すから不思議だ。刺身。例えばカツオ。いきがよくてニンニク、ショウガ、ネギ、ミョウガでコラボ。鶏肉料理もみなオリジナル。アルコールは日本酒、焼酎、ワインを多種類揃えて、説明を求めれば全てプロの解答をしてくれるからたまらない。アルバイトの女の子たちも美人揃いでテキパキ。頭もみな良いから、楽しい酒場となる。
しかし何といっても、シェフ、シュンちゃんの天才的客さばきだ。シュンちゃんはいつも旬だなと言うと、すぐシャレがわかって、100万ドルの笑顔になる。

噂が噂を呼んで、この店は千客万来だ。店の名は「座空」。我々は「ザ・喰う」と呼んでいる。