トップページ ≫ 社会 ≫ 人としてかっこよく生きるということとはなんだろうか。
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
ここ数年毎年一冊の本を出してきている。私の40年以上のビジネスマンとして今まで行ってきたことを将来の人たちへの指針としてまとめてきている。また、毎週、海野塾を主管し、将来のリーダーを育成している。そうしたことの中で私が今に日本人に何が欠けているのかをここでお話ししよう。
日本は明治維新になって、江戸時代から培ってきた日本的な儒教の学習をほとんど放棄し、技術中心の知識の教育に方向転換してきた。そのこと自体は当時の日本が世界に伍していくためには必要なことであった。その結果、明治の時代になって、急速にリーダーシップを持った人材が減ってしまう一方で、技術立国として世界に日本の存在を顕示することができた。
さらに、それから100年経って日本が米国に敗戦し、GHQが日本人から威厳と尊厳を持てないような教育を行った。そうして、戦後70年が経ってしまった。今だに、国歌斉唱、国旗掲揚において、起立をしない国民がいる。世界の人達から見ると、信じられないことだ。日本人としてのアイデンティティがない。
そうしたことが世界の人達が日本人をリーダーとして尊敬しなくなってしまった。日本の技術はこれから10年経っても、20年経っても世界の最先端であろうが、日本人は世界のリーダーにはなれない。今一度、我々は日本人としてどうあるべきかを問わなければならない。その日本人が世界の人たちから信頼されるためにはこれから3つの要件を習得しなければならないと思っている。
その第一番目はリベラルアーツだ。世界の政治、経済、外交、軍事の情報に目を向けることだ。日本人が関心を持っていることだけでなく、世界の情報に目を向けることだ。そうすることによって、世界の人たちと会話ができ、議論ができる素地ができる。そうしたリベラルアーツを持っている人が極めて少ない。それは日本語による情報が極めて脆弱であるからにほかならない。
第二番目に日本の歴史と日本の偉大な人物の過去の遺産を勉強していない。それはGHQが日本の近代史の教育を禁止したからだ。柴五郎とか金子堅太郎、塙保己一、二宮金次郎といった人物を知らない。そうした歴史を勉強することによって、日本人の立ち位置がわかる。日本人の本来の精神がわかる。日本人とは誰かがわかる。
第三番目に世界のビジネスの仕方を勉強しなければならない。身近なものとしては孫子の兵法がある。これを勉強すればビジネスの相手からはめられたり、貶められたりしないスキルが身につく。また、自らそうした戦術を駆使することができるようになる。今の日本人は真面目、正直、勤勉、嘘つかない。それだけでは世界の人達から信用されない。騙されやすいからだ。
こうした研鑽を通じて、日本人としての人材の育成が今必要だ。もちろん、話し方、仕草、お辞儀の仕方、身だしなみといった礼法が必要なことは当然だが、一番難しいのはこうした頭の中の身だしなみだ。言い方を変えれば、人としてのかっこよさだろう。今の人たちはそうした意味で、かっこの悪い人が多すぎる。それでは世界の人たちからの信頼と尊敬を得ることはできない。
私は今まで10年かけて、欧米の新聞の情報を整理して、82セッションの資料を作ってきた。すべて4時間の講座の資料だが、中身は英語だ。それを今、水曜日と土曜日に、日本語と英語で講義している。すべてのセッションが一巡するには2年かかる。また2年後には資料の大半を作り直すことになる。こうしたことをしている塾は他にはない。アジアにもない。
日本の精神は日本的儒教が原点だ。この儒教は中国の四書五経からなっている。この四書五経とは「論語」「大学」「中庸」「孟子」が四書で、「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」が五経だ。その昔、日本人はこれらの書物を幼少のことから暗記して、勉強してきた。それが戦後、そうした学習は全くなくなってしまった。この資料が日本人の精神の基盤にあって、この儒教と神道、仏教が融合して、日本的儒教となった。
こうした学習が日本人の本質的な要素としての「徳」の基盤であった。この徳とは仁・義・礼・智・信の五徳であり、教育勅語にあった孝・悌・忠の実践であった。今の日本にはこうしたリーダーとしての教育を受けていない。知識としての教育しか受けてない。それが今までの教育の失敗であった。とりもなおさずこうした要素は我々が今改めて学びなおすことによって、その矜持を持つことができる。そうしたことが日本人としてのカッコよさではないだろうか。
海野恵一
<筆者プロフィール>
- 略歴
2001年 アクセンチュア 代表取締役
2004年 スウィングバイ株式会社 代表取締役社長
2004年 天津日中大学院 理事
2007年 大連市星海友誼賞受賞
2014年 株式会社海野世界戦略研究所 社長
- 著書
これからの対中国ビジネス 株式会社 日中出版
2020年、日本はアジアのリーダーになれるか 株式会社 ファーストプレス
真のグローバルリーダーになるために 株式会社インプレス
日本企業はアジアで勝てるのか? 株式会社 ファーストプレス (6月出版)
スウィングバイ株式会社
代表取締役社長 海野 惠一
〒108-0023 東京都港区芝浦四丁目4-34 コトヒラビル 7F-B
電話 03-5419-1314 FAX 03-3455-0034
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