トップページ ≫ 社会 ≫ 社説 ≫ 共通投票所の設置を自治体は積極的に
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この夏は参議院議員通常選挙が控えている。今回の選挙では、初めて投票年齢が18歳に引き下げられる選挙として注目を集めている。そしてまた今回、街ぐみるで投票率アップを目指せるようになった。
この4月に公職選挙法が改正され、(1)共通投票所制度の創設 (2)仕事や旅行などで当日投票できない人を対象とする「期日前投票」の時間延長 (3)投票所への子供同伴の許可、という3点が主な改正点になる。共通投票所とは市区町村の住民なら誰でも投票できる投票所で、駅やSC(ショッピングセンター)などに投票所が設置されることをイメージするといい。現在、期日前投票所を駅に設置している例はあるが、投票日当日は指定された投票所でしか投票できず、子供も幼児の同伴しか認められていない。これを大幅に改正して投票率向上を目指すものだ。期日前投票の時間については、現在の午前8時半から午後8時を、午前6時半から午後10時と前後2時間ずつ広げる。
投票率を上げていくには、「投票行動は憲法で認められた国民の権利の一つ参政権であり、これを放棄すべきでない」という意識を国民に広く持ってもらう必要があるが、投票しやすい環境つくりを常に進めていく必要がある。実際に期日前投票所をSCに導入したケースでは一定の成果があがっている。
ところが、日本経済新聞社が全国52の県庁所在地と政令指定都市に対して行った調査によると、この夏の参院選で共通投票所を「検討する」と答えた自治体はゼロだった。実は共通投票所を設置するには、投票日当日の二重投票を防ぐために、すべての投票所を通信回線で結ぶネットワークとシステムの整備を行わなければならず、それがネックになっているそうだ。確かに当日失敗のない運営のためには、ネットワーク構築だけでなく緊急時の対応準備や事前のテストなど自治体における負担は大きい。しかし、今回共通投票所に関する整備費は国が全額負担する方針を固めている。「投票しやすい環境づくりは民主主義の土台である。」ということを改めて認識して、自治体は共通投票所設置に挑戦してほしい。
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