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50+が日本のこれからを面白くする!
~「丸の内プラチナ」大学の挑戦
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
日本の成人(二十歳以上)の二人に一人は、今や50歳以上だそうだ。高齢化社会ではなく超高齢社会になっていることに、もはや疑いはない。どの年代から「シニア世代」と呼ぶのかも、はなはだ怪しくなってきた。「お年寄りに席を譲らない若者が多くなってきたのは嘆かわしい」例えばこんなことを言っても、車両に乗り合わせた全員が「お年寄り」で、そもそも席を譲れるような若者が一人もいないような状況が日常の光景になってきている。
メディアの論調も、危機感を煽る内容が目立つ。「下流老人/切れる老人」「お荷物世代」「老々介護」「年金負け組」…。歳を重ねることは、今やそれ自体が罪悪かのごとくの言われ様だ。老いてからの人生に希望を持ってはいけない、そんな世の中の風潮だ。
将来に備えることは大切なことだ。歳をとることだけは生きていれば確実に起きることなのだから、何らかの準備を「若い」時分からしておくにこしたことはない。問題はその出発点を危機に備えるためとするのか、明るい未来の実現に向けてとするのかだ。
昨年、エコッツェリア協会と三菱総研とご一緒させていただき、『丸の内プラチナ大学』というイベントをプレ「開講」した。全6回、大学のゼミ形式のようなセミナーである。40~50代を中心としたビジネスパーソンが主な対象。人とつながり、創造性を高め、所属組織での活躍は勿論、起業や地域・社会貢献等、参加者自身の持つ将来の様々な可能性を広げてもらうことが目的だ。地域デザインコース、農業ビジネスコース、CSV実践コースの3コースに、それぞれに定員を超える参加者を得て、活発な交流、そして学びの場となった。何より、いくつかの活動(プロジェクト)が、終了後にも継続していることが特長だ。
『丸の内プラチナ大学』を実施してみて実感したことは、人としての「資産価値」は、歳を重ねると自動的に下がっていくようなものではないということだ。確かに記憶力や体力といったいくつかの能力は、若い頃の自分には劣ってしまうが、経験量や社会への貢献意欲など、歳を重ねるごとに増してくるものが必ずある。社会と交わる機会を積極的に持ち、活躍の場とうまく向き合うことができれば、いくらでも「現役」でいられる。注意すべきは、「守り」に入り社会との関わりを限定してしまい、自分の持っている「資産」の可能性を自ら信じられなくなる事だ。一つの組織体の中で、外部との接点が少なく、社会との関わりを無自覚に狭めてしまっている「若者」にも言える。
「一億総活躍」。色々と話題になる言葉だが、これ自体悪いことではない。『丸の内プラチナ大学』も、全ての世代がプラチナに輝く社会の実現という意図を持ってのネーミングだ。ところが、「生涯現役で働き続けろと言うのか?」「年寄りが居座り続けることで若者の雇用を奪うのか?」といった意見が必ず出てきてしまう。「高齢」をネガティブな問題として捉える限り、こうした意見への適切な解は見つけにくい。議論も感情的になりやすいだろう。「歳を重ねる人が多くなるこの機会をうまく活かそう!」こうしたポジティブな発想から検討したほうが、よほど面白いアイデアが生まれそうだ。
成人の二人に一人が50歳以上の世の中で、歳をとることを徒に恐れていても何も始まらない。オレオレ詐欺のようなとんでもない連中にだけ、好き勝手にこの新しい「機会」を侵食させていて良いのだろうか? 50+(フィフティプラス)の取り組みによって、日本はもっと面白くなっていくはずだ。まっとうな人こそ、煽るメディアの心配をよそに、威風堂々と楽しく「歳」を重ねていけばいい。その姿を間近で見る周りの人間が、さらに面白い「歳」を思い描いて実践していく。そんなちょっとした積み重ねが、「プラチナ社会」を実現する大きなムーブメントになるに違いない
臼井清
<著者プロフィール>
臼井清(うすいきよし)
合同会社 志事創業社(しごとそうぎょうしゃ) 代表
1984年に諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)に入社。大阪を振り出しに台湾や英国、ドイツでマーケティングとHRM中心に経験を積む。 企業エンジニア向けの対話の場づくりなど、「会社人」から「社会人」になろう! をスローガンにソーシャル・リーマンズという働き方の普及活動を“部活” として展開。(かなりあ社中として日経テクノロジーオンラインでコラム連載) 2014年にビジネスパーソン向けに学びの開発を支援するコンサルティング会社「志事創業社」を設立して独立。丸の内プラチナ大学の開校準備に加わるなど、企業や個人の“志事”(しごと)作りに邁進中。 企業間フューチャーセンター理事,ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京理事、JEBDA(新興事業創出機構)フェロー、中小企業大学校講師等、企業人との協働を中心に活動の幅を広げている。
- 参考
- 丸の内プラチナ大学
- http://www.ecozzeria.jp/events/platinum/
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