トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ なぜアメリカは拝金主義なのか
外交評論家 加瀬英明 論集
アメリカ人は、何よりも金が好きだ。これも、平等社会であるために、新世界では氏素性が問われることがなかったから、金が何よりも物をいうようになった。
アメリカは歴史がないことから、金が歴史に代わるものとなっている。あらゆることが、金によって、測られる。金が万能となったから、ほどなくして、新世界は過剰な拝金社会となった。
アメリカ人はあらゆる機会をとらえて、金を手に入れようとする。アメリカ人の瞳孔を覗き込むと、$サインが宿っている。
西洋のなかで、アメリカ人ほどあけっ広げに、享楽を求める国民はいない。快楽が人生の目的となっている。
それでいながら、アメリカほど愛国心と、国に対する忠誠心が、強い国民はいまい。
アメリカで、男性に対する最高の賛辞は、「アメリカン・ボーイ」というものだ。オバマ大統領も、前任者たちも、戦場で戦功を立てて帰還した兵士や、辞任して去ってゆく政権の幹部職員を称える時に、「アメリカン・ボーイ」と呼んできた。
日本であれば、「日本男子」「大和男子」に当たるものだが、日本では、戦後、使われることがなくなった。
歴代の大統領は就任するに当たって、国民に国家に対する責任を果たすことを、求めてきた。
この20年をとっても、クリントン大統領は就任式において、国民に向かって「奉仕の時代がきた」と呼びかけ、ブッシュ(子)大統領は、国民に「責任の時代に応える」ことを、求めた。
オバマ大統領の就任式の演説のなかにも、国民に「耐え」「責任を分かちあい」「勤勉、忠誠心、愛国心」を訴え、アメリカを立て直すために、「困難な任務に、自らのすべてを懸ける」「義務をよろこんで果たす」という言葉が、ちりばめられていた。
日本では総選挙のたびに、政党が「生活第一」とか、「生活重視」といったスローガンを、掲げる。与野党とも、「何よりも生活」を優先するということでは、変わらない。
だが、日本が幕末から明治にかけて、国家として生存を問われた時に、為政者が何よりも「生活を重視する」ことを、訴えただろうか。
今日の日本の政治家には、国民に困難を分かち合い、犠牲を払うことを求める、気概がない。
アメリカは拝金主義と、国家への強い忠誠心と、ユートピア思想によって動かされている。不思議な国だ。
アメリカはいつまで超大国でいられるか 第3章お節介で不思議な国・アメリカ
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