トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 軍事費の削減を進めるアメリカ
外交評論家 加瀬英明 論集
アメリカは巨大な財政赤字に苦しんでいるために、国防予算に大鉈を振るっている。
2010年に財政支出削減法が制定され、向こう10年にわたって、連邦支出から1兆ドル(約110兆円)を削ぎ落とさなければならない。この半分が、国防費である。
2014年の国防支出は、国民総生産(GDP)の3.4%に相当したが、この数字は、第二次大戦後、平均して年5.5%を投入してきたのに対して、2%以上も低いものだ。2019年には2.5%まで落ちることになるが、これは第二次大戦後では、もっとも低い水準となる。
2014年に、連邦予算のなかで、国防費が16%を占めたが、国民年金が23%、国民医療保険が14%に当たった。
兵力の削減は、陸海空軍全般にわたる。なかでも、陸軍は2014年に52万人の兵力があったのを、第二次大戦後、最小規模となる44万人台まで縮小されることになっている。空軍、海軍についても、削減されてゆく。
オバマ政権は2014年に入って、プーチン大統領がウクライナのクリミアを、傍若無人に切り取った時も、効果があるような制裁措置を取ろうとしなかった。
オバマ大統領は中東において、かつてない混乱が急速に拡がっているのにもかかわらず、「イスラム国」(ISIS)がバグダッドに迫ると、イラクに対する小規模な空爆を決定しただけで、すっかり腰が引けてしまっている。
その後、オバマ政権はシリアにある「イスラム国」の根拠地にも空爆を加えることを決定したが、アメリカが情況によって振り回され、翻弄されている。
もっとも、アメリカ国民が国外の紛争に、介入することに懲りているのは、オバマ大統領のせいではない。
前任者のブッシュ(子)大統領が勢いに乗じて、アフガニスタンとイラクに侵攻して、成果があったどころか、二つの国だけとっても、手のつけようのない混乱がひろがっている。
アメリカはいつまで超大国でいられるか 第4章アメリカが目茶目茶にした中東の10年
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