社会 …社説
参議院選挙は大方の予想通りの結果を残して終了した。
今回は、特に18歳以上の若者達にも選挙権が与えられたということでは注目に値する選挙だった。しかし、これ等若者達の初陣の選挙が参議院選だったことは若者達にとっては気の毒な選挙だった。何故なら、この参議院という院そのものの存在が重要なのか否かがますますわからなくなってきているからだ。日本国憲法で定められている二院制の精神は、チェックアンドバランス、すなわち、一方の衆議院の行き過ぎをチェックするところにあるにもかかわらず、参議院はすっかり衆議院のカーボンコピー化し、政党制がそのまま参議院にもしかれてしまっているから、屋上屋を架すの愚をさらけだしてしまっている。極論すれば、あってもなくても同じということですっかり形骸化してしまっているということだ。良識の府という本来の意義からはほとんど遠い存在になってしまっているのだ。しかも、この院には国民の税金が年間250億円もつかわれているのだから、本気になって参議院の改革を断行すべき時にきているといっても過言ではない。メディアは決まり文句のように参議院選は中間選挙だといってはばからないが、一考も二考も要するのではないか。かつて参議院の名議長といわれた河野謙三氏は様々な院の改革をはかって名を成したが、今、参議院は自ら改革の意思なければ、逆に自ら存在理由を消滅させてしまうことになる。今こそ、政治の信頼の回復のためにも参議院の抜本的改革にたいまつの火をともすべきだ。