連休の行き先は普段行けないところがいい

町中に住む人は自然がいいと思う

山に住む人は海に行きたいという

昔ある国の王子は自分以外のものになりたいと思った

たまたま自分とソックリさんの乞食がいた

ある日二人は役割を交換した

「王子さまと乞食」の物語りである

楽しいのは場所が変わるだけでなく

今の自分でない方がいいのだ

夢のディズニーランドがある

料金を払って夢の部屋にはいると

好みのドアが選べる

１のドア　美男美女になれるコース

２のドア　様々な分野のビッグネームになれるコース

３のドア　人間以外のものになれるコース

４のドア　タイムスリップして過去にいけるコース

椅子に座るとアナウンスが聞こえます

「よくいらっしゃいました　さあ目を閉じて

 自分が成りたい姿を想像してください

 私が三つ数えるとその通りになります

 では一刻の間お幸せに」

連休の午後　どこにも行かず

ぼんやり藤棚を眺めていてフト思い出した

私は極楽の池の上を飛んでいたトンボだった

極楽は毎日連休で暇を持てあましていた

人間になって三日ばかり地上で遊んできたい　と思ったのである

どうぞ　という声がした　気がつくと人間だった

ブーンと羽音がして蜂が飛んできた

帰りが遅いので私を探しにきたのだという

そろそろ　帰ろかな

大畑　ヨシオ